自己破産とは|手続きの流れ・条件・デメリットを弁護士解説

自己破産とは、裁判所に申立てを行い、借金の返済義務を法的に免除(免責)してもらう手続きです。

自己破産というと、「人生が終わる」「全てを失う」というイメージを持たれがちです。ご相談を受けていても、自己破産には何となく抵抗感がある、という人が多くいらっしゃいます。

しかし、その多くが、「一度自己破産をすると一切旅行に行けなくなる」などといった誤解に基づいていました。

実際には、生活に必要な財産は手元に残せますし、手続き後は新たな生活をスタートできます。

この記事では、区役所相談・弁護士会相談等で多数の相談実績がある弁護士が、自己破産の基本的な仕組みから手続きの流れ・費用・メリット・デメリットまでを分かりやすく解説します。

※借金・債務整理のご相談は、東京にお住まいの方・お勤めの方を対象としております。

目次

自己破産とはどんな制度か?

自己破産は、破産法に基づく制度です。経済的に立ち直るための「再出発の手段」として法律で認められています。手続きには「破産手続」と「免責手続」の2段階があり、この2つは別のものになります。

  • 破産手続:債務者の財産状況を確認し、配当できる財産があれば債権者に分配する手続き
  • 免責手続:残った借金の支払義務を免除してもらう手続き

最終的なゴールは「免責許可決定」を得ることです。免責が認められれば、税金や養育費など一部の例外を除き、借金の返済義務がなくなります。

ですので、皆さんがぱっとイメージする「破産」は、法的には「免責」ということになります。

自己破産ができる条件は?

自己破産が認められる主な条件は3つです。借金額に下限はなく、収入・支出・家族構成などを総合的に見て「支払不能かどうか」が判断されます。

  • 支払不能の状態にあること:現在の収入や財産では返済を続けることが客観的に不可能な状態
  • 免責不許可事由に該当しないこと:ただし、免責不許可事由に該当する(ギャンブルや浪費など)の場合でも、裁判所の裁量で免責が認められる(裁量免責)ケースは多い
  • 過去7年以内に免責を受けていないこと

自己破産の手続きの流れはどうなっている?(東京地裁の場合)

東京地裁では、弁護士が代理人として申立てを行う場合、即日面接という制度になります。申立て当日または数日以内に裁判官と弁護士が面接を行い、手続きの方針を迅速に決定します。

同時廃止が相当と判断されれば、その後、2~3ヶ月後に行われる債権者集会、およびその1週間後に行われる免責決定をもって、手続終了となることが多いです。

ステップ1:弁護士への相談・依頼

まず弁護士に相談し、自己破産が最適か、任意整理や個人再生など他の選択肢と比較して方針を決めます。依頼が成立すると受任通知(介入通知)が各債権者に送付され、相手に受任通知が届いた時点で、督促が止まります。

ただ、一般的な消費者金融機関には、毎日大量の受任通知が届いており、中には漏れてしまうということがあります。そのため、弁護士が受任通知を発送したのに、督促が届くということもありますので、その時は早めに弁護士に報告しましょう。

ステップ2:書類の準備・申立て

弁護士と打ち合わせをしながら、以下の書類を準備します。それぞれの事情によって用意する書類が異なりますので、詳しくはご依頼される弁護士に相談してください。

通帳履歴等は、弁護士が代理人として銀行に照会しても、開示されません。こういったことは、弁護士に依頼していても、自分が動かないといけない、ということに注意しましょう。

  • 収入に関する書類(給与明細、源泉徴収票、課税証明書など)
  • 財産に関する書類(過去2年分の通帳のコピー、保険証券、車検証など)
  • 住居に関する書類(賃貸借契約書など)
  • 家計の状況(直近2ヶ月分の家計簿)
  • 借金の経緯を記載した陳述書
  • 申立費用/管財費用の積み立て

ステップ3:破産手続開始決定〜免責許可決定

同時廃止が相当と判断された場合、破産手続開始と同時に手続きが終了し、免責審尋(裁判官との面接)を経て免責許可決定が出ます。

段階時期の目安
弁護士への依頼開始
受任通知の発送(督促停止)依頼後すぐ
書類準備・申立て依頼から1〜3ヶ月
即日面接申立て当日〜数日以内
破産手続開始・同時廃止決定即日面接後すぐ
免責審尋開始決定から約2ヶ月後
免責許可決定審尋から約1週間後
免責確定決定から約1ヶ月後

同時廃止と管財事件はどう違う?

自己破産の手続きは「同時廃止」と「管財事件(少額管財)」に分かれます。どちらになるかで費用・期間が大きく変わります。東京地裁では財産の総額が20万円以下であれば同時廃止となるのが一般的です。

また、東京地裁の場合、即日面接から、速やかに管財人(内定者)、弁護士、破産者(依頼者)の3人で、面接をしなければなりません。管財人は、ご多忙な人が多いですから、速やかに連絡を取って日程調整をする必要があります。

項目同時廃止管財事件(少額管財)
対象めぼしい財産がない場合一定の財産がある場合・調査が必要な場合
管財人選任されない選任される
引継予納金不要原則20万円
裁判所費用約2万円約23万円

自己破産の費用はいくらかかる?

費用は「弁護士費用」と「裁判所費用」の2つで構成されます。同時廃止なら合計40万〜60万円程度、管財事件では50万〜70万円程度が相場です。手元にまとまったお金がない場合も、法テラスの立替制度や分割払いを活用できます。

費用の種類(法テラスを利用しない場合)同時廃止の場合管財事件の場合
弁護士費用(着手金+報酬)40万〜60万円程度50万〜70万円程度
裁判所への予納金(官報公告費)約1.5万円約2万円
引継予納金(管財人報酬)なし原則20万円
収入印紙・郵券数千円数千円
合計の目安約43万〜63万円約75万〜95万円

費用が払えない場合の対処法

「借金で困っているのに弁護士費用を払えない」という方も多くいらっしゃいます。以下の方法で費用面のハードルを下げることができます。

1. 法テラス(日本司法支援センター)の立替制度

収入や資産が一定基準以下であれば、法テラスが弁護士費用を立て替えてくれます。返済は月額5,000円〜10,000円程度の分割払いです。生活保護を受給中の方は立替金の返済が免除される場合もあります。

2. 弁護士費用の分割払い

多くの事務所で分割払いに対応しています。弁護士に依頼した後は借金の返済が止まるため、それまで返済に充てていたお金を弁護士費用の積立に回すことができます。

自己破産のメリット・デメリットを整理する

自己破産には借金がゼロになるという大きなメリットがある一方、信用情報への登録や一部の資格制限といったデメリットもあります。それぞれ正確に理解しておくことが大切です。

メリット

メリット内容
借金がゼロになる税金・養育費など一部を除き、全ての借金の返済義務がなくなる
督促が止まる弁護士に依頼した時点で、債権者からの直接の督促が止まる
生活に必要な財産は残せる99万円以下の現金、生活必需品などは手元に残せる可能性がある(自由財産)
給与の差押えが止まる破産手続開始決定により、強制執行が停止される

デメリット

デメリット内容期間の目安
信用情報に登録されるいわゆる「ブラックリスト」に登録され、新たな借入やカード作成が困難になる5〜10年程度
官報に掲載される氏名・住所が掲載される(一般の方が官報を目にすることはほとんどない)
一部の資格・職業に制限保険外交員、警備員、宅建士などは手続き中に資格制限を受ける手続き中のみ(免責確定で復権)
一定額以上の財産を手放す不動産、20万円以上の価値がある自動車・保険解約返戻金などが対象
保証人に請求がいく本人の返済義務がなくなっても、保証人・連帯保証人の義務は残る

「自己破産=人生終わり」は誤解です

よく誤解されていますが、自己破産をしても戸籍や住民票に記載されることはありません。選挙権がなくなることもありませんし、勤務先に通知されるわけでもありません。手続きが終われば、旅行に行くことも問題ありません。

令和4年司法統計によれば、自己破産の免責許可率は約97%です。借金問題を法的に解決し、生活を立て直すための制度として、多くの方が利用されています。

自己破産以外の選択肢も検討すべきか?

借金問題の解決方法は自己破産だけではありません。状況によっては任意整理や個人再生の方が適している場合があります。どの方法が最適かは、借金の総額・収入・財産・家族構成によって異なります。

方法特徴向いている人
任意整理裁判所を通さず、将来利息のカットと返済期間の見直しを交渉する安定収入があり、財産を手放したくない人
個人再生裁判所の認可で借金を大幅減額し3〜5年で返済。住宅ローン特則あり自宅を残したい人・収入がある人
自己破産借金の返済義務を全額免除してもらう返済が不可能な状態にある人

よくある質問(Q&A)

自己破産すると家族に影響はありますか?

自己破産の法的な効果が及ぶのは申立てをした本人のみです。ご家族の信用情報に傷がつくことはありません。ご家族名義の財産が処分されることもありません。ただし、ご家族が保証人・連帯保証人になっている場合は、ご家族に請求がいく可能性がありますので注意が必要です。

自己破産したことは勤務先にバレますか?

原則として、裁判所や弁護士から勤務先に通知されることはありません。ただし、勤務先から借入がある場合は債権者として扱われるため、知られる可能性があります。また、勤務先から、退職金の計算書類を入手する必要もあります。保険外交員や警備員など資格制限の対象となる職業の方は、手続き期間中の対応について事前に弁護士とご相談ください。

自己破産の費用が払えません。どうすればいいですか?

法テラス(日本司法支援センター)の立替制度を利用できる可能性があります。収入や資産が一定基準以下であれば、弁護士費用を法テラスが立て替え、月5,000円〜10,000円程度で分割返済する仕組みです。また、多くの法律事務所では分割払いにも対応しています。費用面でお悩みの方も、まずはご相談ください。弊所では、法テラスを利用した自己破産も積極的に対応しています。

免責不許可事由があっても諦めなくていいですか?

ギャンブルや浪費が原因で借金が膨らんだ場合でも、諦める必要はありません。実務上、正直に申告される方については、裁判所が諸般の事情を考慮して免責を認める「裁量免責」は広く認められています。まずは弁護士に正直に事情をお話しください。

自己破産すると、もう一生借入ができないのですか?

一生借入ができなくなるわけではありません。信用情報機関への登録期間はおおむね5〜10年程度とされており、登録が抹消された後は、新たな借入やクレジットカードの作成が可能になります。ただ、自己破産を検討している段階で検討するお話ではありません。まずは、二度と借り入れをしなくても大丈夫なように、生活基盤を整えることが大事です。

まとめ|借金のお悩みは一人で抱え込まないでください

自己破産は、借金問題を法的に解決し、経済的な再出発を可能にする制度です。

  • 借金の返済義務がなくなる
  • 生活に必要な財産は手元に残せる
  • 東京地裁の即日面接制度により、迅速な解決が可能
  • 法テラスの立替制度を利用すれば、費用面の心配も軽減できる

「自分の場合は自己破産ができるのか」「他に良い方法がないか」など、少しでも気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

初回相談は無料です。法テラスのご利用も可能です。なお、借金・債務整理のご相談は、規程上、対面でのご相談が必要です。

お問い合わせ・ご相談はこちら

03-6206-6168

受付時間: 平日 10:00~19:00

この記事を書いた人

弁護士/心理カウンセラー/夫婦カウンセラー

法律と心、両方の視点から問題に向き合い、「本当に納得できる解決」を大切にしています。
男女問題・借金問題・交通事故など、心の負担が大きいトラブルや人間関係のお悩みに強みがあります。法律実務歴10年以上。安心してご相談ください。

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