自己破産は投資・FXの失敗でもできる?免責の実際と管財人に確認されること

ご相談者様の中には、FXで思っていた以上のマイナスが出てしまって、返済することができなくなってしまった方や、自分で調べているうちに「投資やFXが原因だと破産できない」という記事を見てしまって、そこからお問い合わせができなくなってしまった、という方がいらっしゃいます。仮想通貨で大きなマイナスを出してしまった方や、株式の取引を続けているうちに借入が増えてしまった方からも、同じようなお話を伺うことがあります。

インターネットでお調べになりますと、「射幸行為」や「免責不許可事由」といった言葉が並んだページが数多く出てまいります。そういったものをお読みになれば、ご自身の場合は認めてもらえないのではないかとご心配になるのも、無理のないことだと思います。

ただ、実際に申立てをしておりますと、そこに書かれている印象と、手続の中で実際に問われる事項との間には、かなりの隔たりがあるように感じております。

なお、借金・債務整理のご相談は、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。

目次

投資が原因であっても、申立てはできます

投資でマイナスを出してしまったことを理由に、自己破産の申立てそのものが受け付けられない、ということはありません。

「免責が認められないかもしれない」というご心配と、「申立てができない」ということは、別の問題です。前者は結果の問題であり、後者は入口の問題になります。入口が閉ざされているわけではありません。

そのうえで結果のほうですが、これまでお受けしてまいりました中で、申立てまで進めることができた事案について、免責が許可されなかったことはありません。

もっとも、これは結果をお約束するものではありませんし、ご事情によっては申立てそのものを慎重に検討したほうがよい場合もあります。「投資が原因であっても必ず免責される」ということではなく、インターネットをお読みになって想像されるほどには厳しくない、という程度に受け取っていただければと思います。

法律上は、基本的に免責不許可事由にあたります

先に、条文の整理をしておきます。

破産法252条1項4号は、「浪費または賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担したこと」を免責不許可事由として定めております。FXや仮想通貨の取引によって多額の債務を負われた場合、基本的にはこの4号にあたるとお考えいただいたほうが実態に近いです。

ここをぼかして書いてあるページが多いのですが、あたるものはあたります。

そのうえで、同じ252条の2項に、裁量免責という定めが置かれております。免責不許可事由が存在する場合であっても、裁判所が諸般の事情を考慮して免責を許可することができる、という制度です。実務では、この裁量免責によって解決する事案が大半を占めております。

つまり、条文の入口では該当するけれども、出口では免責が認められている、という構造です。インターネットの記事をお読みになって不安になってしまわれるのは、多くの場合、入口の説明で話が終わっているためだと思われます。

免責不許可事由そのものにつきましては、免責不許可事由とは|該当しても免責される可能性と対処法で別にお話ししております。

投資が原因の場合、ほぼ管財事件になります

免責不許可事由にあたるということは、手続の進み方にも影響します。

投資が原因の破産で、**同時廃止になることはまずありません。**取引の経緯を調査する必要があると判断されますので、管財事件(少額管財)として、破産管財人が選任されることになります。

同時廃止であれば費用は弁護士費用だけで済みますが、管財事件になりますと、それとは別に裁判所へ納める引継予納金が必要になります。東京地方裁判所では原則20万円です。

つまり、費用は次の二本立てになります。

ひとつは、弁護士費用です。債権者の数によって変わりますので、借金・債務整理のご依頼と費用についてにまとめております。報酬金はいただいておりません。

もうひとつが、裁判所に納める引継予納金の原則20万円です。これは弁護士費用に含まれるものではなく、別途ご用意いただくことになります。ほかに、官報公告費用などの実費が数万円かかります。

期間についてですが、ご依頼をいただいてから免責までで、6か月ないし1年程度が目安になります。

このうち時間を要しますのは、ご依頼から申立てまでの準備の部分です。管財事件になった場合であっても、開始決定から手続が終わるまでは2か月ないし3か月程度で終わることが一般的ですので、管財になったからといって何年もかかる、というものではありません。

費用のご用意が難しい場合には、法テラスの立替制度をご利用いただける場合がございます。収入と資産が一定の基準以下であることが条件となりますので、該当しそうかどうかも面談で確認いたします。分割でのお支払いにも対応しております。

管財人の面接で確認される内容と、所要時間

管財事件になりますと、破産管財人との面接があります。この点を最も不安に感じておられる方が多いため、内容をご説明します。

所要時間は、短い場合で15分程度、長い場合には3時間に及んだこともありますが、平均しますと1時間程度です。

確認される内容は、通帳の記載と、破産に至るまでの経緯、それから借金の原因です。これらを、ひとつずつ個別に確認していくことになります。通帳を見ながら、この時期に何がありましたか、この出金は何ですか、といった形で進んでいくことが多くなります。

レバレッジが何倍であったのか、どの通貨を取引していたのか、といった細かい部分を延々と問い詰められるのではないかとご想像される方が多いのですが、実際に確認されているのはそういった点ではありません。

怒られるのではないかというご心配も、よく伺います。管財人によって進め方も聞き方も異なりますので一概には申し上げられませんが、正直にお話しいただいていれば、怒られるということはあまりありません。

面接は、責めるための場ではなく、事情を確認するための場です。管財人は財産を調査し、免責について意見を述べる立場で関与しているのであって、説教をするために時間を取っているわけではありません。代理人として同席いたしますので、答えにくいご質問があれば、その場でお手伝いすることもできます。

反省文を書いていただくわけではありません

破産の手続について調べていらっしゃると、「陳述書に反省を書く」という説明を目にされることがあると思います。ここは誤解が生じやすいところですので、整理しておきます。

**申立ての際に、ご本人に陳述書を書いてご提出いただく、ということは通常ありません。**裁判所の書式で決まった報告書を、弁護士のほうで作成して提出いたします。

反省文の話は、これとはまったくの別物です。そして、反省文を別途ご用意いただくよう求められることは、最近はあまりありません。

ではご本人に何をお願いすることになるかと申しますと、報告書を作成するための聞き取りにお答えいただくことです。

どこまでは順調であったのか、どのあたりから苦しくなってきたのか、そして、どこから借入で回すようになってしまったのか。この流れを順に伺ってまいります。

たとえば、しばらくは余裕資金の範囲で取引をしていらっしゃったけれども、ある時期に大きなマイナスが出てしまい、そこから取り戻そうとして生活費に手をつけるようになり、やがてカードのキャッシングで証拠金を作るようになってしまった。そういった時間の流れを、ご記憶をたどりながらお話しいただくことになります。

文章を書いていただく必要も、うまく説明していただく必要もありません。伺った内容をもとに、こちらで書面にいたします。

経緯は、隠さずにお話しいただくほうが有利です

聞き取りの際によく出てまいりますのが、「正直に話したら不利になりませんか」というご質問です。マイナスを取り戻そうとして借入を重ねてしまった、ご家族に黙って続けてしまっていた。そういった事情をそのままお伝えしてよいものかどうか、迷われるのだと思います。

すべてお話しいただくほうが、結果として有利になります。

隠した事実が後から判明するほうが、はるかに不利になってしまうためです。管財人は通帳も取引履歴も確認いたしますので、報告書に記載のない出金が見つかった場合には、取引の内容そのものよりも、記載されていなかったという事実のほうが問題になってしまいます。

反対に、経緯が正直に記載されていれば、多少きまりの悪いご事情が含まれていたとしても、そこを厳しく責められるということは、実務上あまりありません。

話しにくいことほど、ご相談の際にお聞かせいただけますと助かります。どのように書面にするかは、こちらで整理いたします。

再発防止の取り組みは、特別なものである必要はありません

経緯とあわせて、もう繰り返さないためにどのようなことに取り組んでいらっしゃるか、という点も確認されます。

ここでも、計画書のようなものを作成しなければ通らないのではないかとお考えになる方がいらっしゃいますが、そのように構えていただく必要はありません。

実際にございましたところでは、ご家族に口座と家計を管理してもらうという形をとられた方がいらっしゃいます。お給料の振込口座を配偶者の方に管理していただき、ご自身では自由に動かせないようにされた、というものです。取引にのめり込んでしまった背景に依存的な傾向がおありだった方で、医療機関に通院を始められた方もいらっしゃいます。

いずれも、特別なことではありません。正直なところ、そこまで綿密に組み立てていただかなくとも、実際に取り組んでいらっしゃることが伝われば足りている、という印象を持っております。

重要なのは内容の立派さではなく、本当に実行していらっしゃることをお伝えいただく、という点です。実行していないことを立派に書いてしまいますと、面接で確認された際に話が続かなくなってしまいます。逆に、口座をご家族に預けただけであっても、それを継続していらっしゃるのであれば、十分にご説明いただけます。

現時点で何も着手していらっしゃらない、という状態でも構いません。その点はご相談の中で一緒に検討してまいります。

FX・仮想通貨・株式・不動産投資で、判断は変わるのか

基本的には変わりません。

FXであっても仮想通貨であっても、株式であっても、免責不許可事由にあたるかどうかの判断が商品ごとに大きく異なる、ということはありません。判断の対象になっているのは、取引の態様と、借入の経緯のほうです。

不動産投資につきましては、物件をお持ちの場合に、売却額が適正であるかどうかという論点が出てくることはあります。ただ、これは免責の可否そのものというより、財産の換価に関する話になります。

なお、ギャンブルが原因である場合につきましては、ギャンブルが原因の自己破産で免責は認められるかで別に記載しております。

投資詐欺の被害に遭われた場合

こちらは、ここまでのお話とは分けて考えることになります。

SNSで知り合った相手に勧められてしまったり、自動売買のツールを購入させられてしまったり、仮想通貨の運用を持ちかけられてしまったり。そういったご被害の場合には、マイナスの原因はご自身の投資判断ではなく、相手方の欺罔行為にあります。

そうしますと、「射幸行為」や「浪費」という評価にはなじみません。仮に一部が該当するとしても、裁量免責の判断において、有利なご事情として考慮されるのが通常です。

ただし、そのためには経緯を示す資料が必要になります。相手方とのメッセージの履歴、送金の記録、サイトの画面、警察に被害届を提出していらっしゃればその控え。消去してしまわれる前に、可能な範囲で保存しておいていただければと思います。

ご相談の際、何をお持ちいただければよいか

ご相談にお越しになった方が最初におっしゃるのは、多くの場合「お金が返せない」という一言です。何が原因であったのかというお話が出てまいりますのは、そのあとになります。

ですので、整理してからお越しいただかなければならない、ということはありません。

まず伺いたいのは、どこから借りていらっしゃるかです。消費者金融なのか、カードのキャッシングなのか、銀行のカードローンなのか。会社名と、おおよその金額がわかれば十分です。

督促の書類がたくさん届いてしまっている、という状態でしたら、**それをまとめてお持ちいただければ結構です。**中身を確認して、こちらで整理いたします。すべて開封できていなくても構いません。

通帳やカードの明細もお手元にございましたらお持ちいただけますとスムーズですが、揃っていないためにご相談いただけない、ということはありません。

よくあるご質問

FXで借金が500万円あります。自己破産はできますか。

申立てはできます。免責につきましても、投資が原因であるというだけで認められないということは、実務上ほとんどありません。借入の経緯と取引の内容、現在の収支の状況を伺ったうえで、見通しをお伝えいたします。

手続中も投資を続けることは可能ですか。

ご依頼をいただいたあとは、必ず中止していただくようお願いしております。継続していらっしゃいますと、免責の判断において不利に働いてしまう可能性がございます。すでに続けてしまっている場合であっても、隠さずにお話しいただければ、そこから整理してまいります。

仮想通貨の投資で騙されました。免責に影響しますか。

全て正直にお話いただいている、という前提になりますが、詐欺のご被害であれば、マイナスに影響することは通常考えられません。相手方とのやり取りの記録などを保存しておいていただければと思います。

会社に知られてしまいますか。

会社に対して裁判所から直接通知が届く、という仕組みはありません。ただ、知られる可能性がまったくないと申し上げることもできません。

ひとつは、官報への掲載です。破産手続が開始されますと官報に公告されますので、記録としては公になります。一般の方が日常的にご覧になるものではありませんが、掲載自体は避けられません。

もうひとつが、退職金です。勤続年数によっては退職金の見込額を疎明する必要があり、その資料をご用意いただく過程で、勤務先にお話しせざるを得なくなる場合があります。就業規則から計算できる場合もありますので、そのあたりは状況を伺ったうえでご相談させていただきます。

なお、勤務先からの借入がある場合には、勤務先も債権者になりますので、当然お知らせすることになります。

より詳しくは、自己破産は職場にバレる?会社に知られる経路と防ぐ方法に記載しております。

自己破産以外の選択肢はありますか。

安定した収入がおありでしたら、任意整理や個人再生も選択肢となります。ただ、投資による借金が多額で返済の見込みが立たない場合には、自己破産が最も整理しやすいことが多くなります。いずれの手続が適しているかは、ご相談の中で一緒に検討してまいります。


投資で失敗してしまったこと自体を責められるために、この手続を行うわけではありません。管財人も裁判官も、確認したいのは、どうしてそうなってしまったのかということと、これからどうされるのかということです。

その二点は、正直にお話しいただければ足ります。ご自身で書面を作成していただく必要も、巧みなご説明も必要ありません。

投資が原因だから無理だろうとお考えになったまま、何年も抱え込んでしまわれた方を、これまで何人も拝見してまいりました。

なお、借金・債務整理のご相談は、弁護士会の規程により対面での面談が必要となります。そのため、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。初回のご相談は無料です。

お問い合わせ・ご相談はこちら

03-6206-6168

受付時間: 平日 10:00~19:00

この記事を書いた人

弁護士/心理カウンセラー/夫婦カウンセラー

法律と心、両方の視点から問題に向き合い、「本当に納得できる解決」を大切にしています。
男女問題・借金問題・交通事故など、心の負担が大きいトラブルや人間関係のお悩みに強みがあります。法律実務歴10年以上。安心してご相談ください。

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