ギャンブルが原因の自己破産で免責は認められるか?裁量免責の実態と対策

「パチンコで作った借金でも自己破産できますか。ギャンブルだと免責されないと聞いたことがあって……」

区役所や弁護士会の相談窓口で、こうした不安を抱えて来られる方は少なくありません。

「ギャンブルは自己破産できない」という誤解が広まっているために、相談すること自体をためらっている方もいます。

結論から言います。ギャンブルが原因であっても、自己破産で免責が認められるケースは多いです。

「9割以上」という数字はよく言われますが、その背景にある「裁量免責」という制度の仕組みと、免責を得るために何が必要かを知っておくことが重要です。

この記事では、区役所相談・弁護士会相談等で多数の相談実績がある弁護士が解説します。

※借金・債務整理のご相談は、東京にお住まいの方/東京にお勤めの方を対象としております。

目次

ギャンブルが免責不許可事由に該当する理由

破産法252条1項4号は、浪費やギャンブルにより著しく財産を減少させた場合を免責不許可事由として定めています。パチンコ・競馬・競艇・オンラインカジノなどが該当します。

自己破産の手続きでは、一定の事由がある場合に免責(借金の支払い義務を免除すること)が認められません。これを「免責不許可事由」といいます。

破産法252条1項は複数の不許可事由を列挙しており、そのうち4号に「浪費又は賭博その他の射幸行為によって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」が定められています。

「賭博その他の射幸行為」にはパチンコ・パチスロ、競馬・競輪・競艇、オンラインカジノ、FX・仮想通貨の過度な投機的取引なども含まれます。免責不許可事由の詳しい解説はこちらの記事もあわせてご参照ください。

「著しく」という要件

条文には「著しく」という言葉があります。借金全体のうちギャンブルによるものが一部に過ぎない場合は、免責不許可事由に該当しないと判断されることもあります。もっとも、ギャンブルの借金が全体の大半を占める場合は4号に該当するとみなされるのが一般的です。

裁量免責とは何か:9割以上が免責される実態

免責不許可事由があっても、裁判所が諸般の事情を考慮して免責を許可できる制度が裁量免責です。実務上、破産手続きに誠実に協力すれば、ほとんどのケースで裁量免責が認められています。

裁量免責は破産法252条2項に根拠があります。同条2項は「前項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して、免責を許可することができる」と定めています。

つまり、ギャンブルによる借金があっても、最終的に免責を許可するかどうかは裁判所の裁量です。最高裁の司法統計によれば、免責申立てのうち免責が認められない割合は数パーセント程度にとどまります。ギャンブルが理由でも、手続きに誠実に協力していれば裁量免責が認められるのが実務の趨勢です。

裁量免責が認められやすい事情・認められにくい事情

事情判断への影響
ギャンブルをすでにやめているプラス(再発可能性が低い)
依存症治療を受けている・受ける意思があるプラス(問題の自覚と改善意欲)
管財人の調査に誠実に協力しているプラス(手続き遵守)
反省文に具体的な内容があるプラス(真摯な反省)
手続き中もギャンブルを続けているマイナス(免責が認められないリスク)
財産の隠匿・虚偽の報告があるマイナス(別の不許可事由にも該当)
2回目以降の自己破産で免責から7年未満別途不許可事由(252条1項10号)が適用

裁量免責が認められるために必要なこと

ギャンブルをやめていること、家計の収支を正確に報告すること、管財人の調査に誠実に協力すること、反省文を提出することが重要です。手続き中にギャンブルを続けた場合は免責が認められない可能性があります。

当職は、これまで、ギャンブルで何百万円という借金を重ねた人の破産申立てを担当したことがありましたが、ご依頼後、ちゃんとギャンブルを止めていただいていたこともあり、特に問題なく免責が認められました。

また、ご依頼後もギャンブルをしてしまった方には、依存症の病院へのご通院をお勧めするなどしています。定期的に治療を受け、最終的にはギャンブルを止めることで、反省の態度を示す形になります。

反省文の書き方

管財事件では、破産者(申立て人)が反省文(上申書)を提出することがあります。「ギャンブルをして申し訳ありません」という抽象的な謝罪ではなく、以下の内容を具体的に書くことが求められます。

  • いつ頃からギャンブルを始め、いつ頃から借金が増え始めたか
  • なぜギャンブルをやめられなかったか(依存症の経緯)
  • 現在ギャンブルをやめているか、今後どう対処するか
  • 生活再建に向けてどのような計画を立てているか

しっかりとした反省文を書くには、自分ととことん向き合わなければなりません。しかし、それを一人で行うのは極めて難しいです。そのため、弁護士と一緒に内容を確認しながら作成することをお勧めします。

ギャンブルが原因の自己破産で管財事件になるケース

ギャンブルの借金が全体の大半を占める場合、同時廃止ではなく管財事件になることがあります。管財人が財産調査やギャンブル歴の確認を行い、免責の意見を裁判所に報告します。

同時廃止と管財事件の違い

区分同時廃止管財事件
手続きの流れ破産手続き開始と同時に廃止。管財人なし管財人が選任され財産調査・換価を行う
費用申立費用のみ(数万円)管財人への予納金が別途必要(最低20万円程度)
期間3〜4ヶ月程度半年〜1年程度
ギャンブル案件の扱い財産がほぼない場合は同時廃止になることもある免責不許可事由があると管財事件になりやすい

ギャンブルが原因の場合、裁判所が「免責不許可事由の調査が必要」と判断して管財事件にすることがあります。管財人が選任されると、借金の使途・ギャンブルの内容・家計の状況を詳しく調査されます。管財人の意見が免責の許可・不許可に直接影響するため、管財人への対応は非常に重要です。

よくある質問

オンラインカジノの借金でも自己破産できますか?

オンラインカジノへの参加は日本国内では賭博罪に該当する可能性がある行為ですが、自己破産の免責判断において「違法な賭博かどうか」は直接の考慮事項ではなく「著しく財産を減少させたかどうか」が問題になります。オンラインカジノによる借金も、他のギャンブルと同様に免責不許可事由に該当しえますが、裁量免責が認められるケースも多いとされています。現に、これまでオンラインカジノで借金が増えた方の破産申立てを担当した経験もございます。

ただし違法性が高い行為が関係する場合は弁護士との事前の確認が必要です。

ギャンブルの金額を正確に覚えていない場合はどうすればよいですか?

正確な金額を覚えていない場合でも、大まかな期間・頻度・1回あたりの損失額などから概算を申告することになります。重要なのは「正確に覚えていない」という事実を正直に伝えることで、曖昧な記憶を確定的な事実として申告しないことです。虚偽申告は別途免責不許可事由に該当するため、不明な部分は「概算」「おおよそ」と明記して弁護士と一緒に整理することをお勧めします。

2回目の自己破産でもギャンブルの免責は認められますか?

2回目以降の自己破産については、前回の免責許可決定確定日から7年以内の場合、別途の免責不許可事由(破産法252条1項10号)に該当します。この場合、ギャンブルの有無にかかわらず免責が認められにくくなります。前回の免責から7年以上経過していれば、1回目と同様の判断基準が適用されます。いずれにせよ、2回目の自己破産は慎重な検討と弁護士への相談が不可欠です。

初回相談は無料です。法テラスのご利用も可能です。なお、借金・債務整理のご相談は、規程上、対面でのご相談が必要です。

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この記事を書いた人

弁護士/心理カウンセラー/夫婦カウンセラー

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