不倫は犯罪ですか?日本の法律での位置づけと民事責任を弁護士が解説

「不倫は犯罪にならないの?」「警察に訴えることはできないの?」——配偶者の不倫を知ったとき、こう考える方は少なくありません。

不倫(不貞行為)は、日本の現行法では原則として刑法上の「犯罪」ではありません。ただし、民事上の不法行為として慰謝料請求の対象になります。また、状況によっては例外的に刑事問題に発展するケースもあります。

この記事では、男女問題を中心に受任実績1,000件以上の弁護士が、不倫と犯罪の関係・民事上の責任の内容・例外的に刑事問題になるケースを、法律の根拠とともに解説します。

目次

不倫は犯罪ですか?日本の法律での位置づけ

不倫(不貞行為)は日本の現行法では刑事犯罪ではありません。

1947年(昭和22年)の刑法改正で「姦通罪」が廃止されて以降、不倫は刑事罰の対象ではなくなりました。

ただし「犯罪ではない」は「何の責任も負わない」を意味しません。

不倫は民事上の不法行為(民法709条)として、慰謝料請求の対象になります。

かつては「姦通罪」という刑事犯罪だった

旧刑法(昭和22年廃止)では、妻が夫以外の男性と性的関係を持った場合に2年以下の懲役が科されていました。ただしこの規定は「妻と、その妻と関係をもった男性のみに適用」というもので、夫側には適用されないという著しく不平等なもので、廃止されることになりました。

そのため、現在の日本の刑法には、不倫を直接罰する規定は存在しません。

現行民法における不倫の扱い

民法上は、夫婦には「同居・協力・扶助の義務」(民法752条)および「貞操義務」が認められています。不倫(不貞行為)はこの貞操義務に違反する行為として、民事上の不法行為(民法709条)を構成します。また、不倫は法定離婚原因(民法770条1項1号「不貞な行為」)にも該当します。

つまり、不倫は「犯罪ではない」が「民事上の法的責任を負う行為」として位置づけられています。

不倫で問われる民事上の責任(慰謝料)はどのくらい?

不倫(不貞行為)は民法709条の「故意または過失による権利侵害」に該当し、配偶者の「貞操権」・夫婦の「婚姻共同生活の平和」という法的利益が侵害されたとして損害賠償(慰謝料)の請求が認められます(民法710条)。

請求相手根拠備考
不倫をした配偶者民法709条夫婦間の貞操義務違反
不倫相手民法709条配偶者の婚姻関係を侵害した共同不法行為

不倫相手に対して請求するためには、相手が「既婚者であることを知りながら(または知ることができたのに)関係を持った」という事情が必要です。相手が「独身だと思っていた」ことにつき過失が無かったと証明できる場合は、請求が認められないことがあります。

慰謝料の相場(裁判例ベース)

状況慰謝料の相場
離婚に至った場合100万〜300万円程度
離婚はしないが別居した場合80万〜200万円程度
離婚しない場合50万〜150万円程度

婚姻期間の長さ、不倫期間・回数、妊娠の有無、発覚後の態度などが金額を左右する主な要素です。上記はあくまで裁判例ベースの目安であり、個別の事情によって大きく異なります。

不倫が「犯罪」になる例外的なケースは?

原則として犯罪ではない不倫ですが、行為の態様によっては刑事責任が問われることがあります。代表的なケースを整理します。

ストーカー行為が伴う場合

不倫相手への執着からつきまとい・待ち伏せ・無言電話・SNSへの大量メッセージ送信などの行為が加わると、ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)違反となりえます。反復的なストーカー行為そのものは1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。

未成年者との性的関係

相手が18歳未満の場合、都道府県の青少年保護育成条例違反となります。東京都では2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される場合があります。また13歳未満の者との性的行為は、相手の同意の有無を問わず不同意性交等罪(刑法177条)が成立し、5年以上の拘禁刑という重い刑事罰の対象になります。

リベンジポルノ(性的画像の無断公開)

不倫関係にあった相手の性的な画像・動画を無断で流布・公開することは、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法)違反となりえます。提供・公開した場合は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。

「不倫を警察に訴えたい」はできる?刑事告訴と民事請求の違い

不倫そのものは犯罪ではないため、「不倫をされた」という事実だけを理由に刑事告訴することはできません。警察や検察庁が動くのは「犯罪」が成立する場合のみです。不倫行為だけでは警察に申告しても対応されないのが実情です。

手続き目的不倫の場合の可否
刑事告訴相手への刑事罰原則不可(前述の例外を除く)
民事請求(慰謝料請求)金銭補償・謝罪可能

不倫では「警察を動かす」ことはできなくても、民事手続きで慰謝料を請求することは十分に可能です。弁護士を通じた内容証明送付・交渉・調停・訴訟という流れで、法的に適正な解決を図ることができます。

慰謝料請求の実際の流れ

不倫(不貞行為)に基づく慰謝料請求は、一般的に以下の流れで進みます。

ステップ内容
① 証拠の収集LINE・ホテル履歴・写真・探偵報告書など
② 内容証明郵便の送付弁護士名で請求額・支払期限を明示
③ 交渉・示談合意成立後に示談書(可能なら公正証書)を作成
④ 調停・訴訟交渉不調の場合は家庭裁判所調停または訴訟提起

実際に私が担当した案件では交渉段階で7〜8割は解決するという印象です。裁判まで行くケースの特徴としては、弁護士からの通知に対し相手が完全に無視を決め込んだり、不貞行為を否認したり、婚姻関係が破綻していたから責任を負わない、等といった、反省の態度が全く見られない、ということが挙げられます。

よくある質問(FAQ)

不倫は犯罪ですか?逮捕されますか?

日本の現行法では、不倫(不貞行為)は刑事犯罪ではありません。警察が逮捕することも、検察が起訴することもできないのが原則です。ただし、ストーカー行為・未成年者との関係・性的脅迫・リベンジポルノなど付随する行為が犯罪を構成する場合は例外的に刑事責任が生じます。

不倫相手を「訴える」ことはできますか?

民事訴訟として慰謝料を請求することはできます。不倫相手は共同不法行為者として損害賠償責任を負うため、配偶者だけでなく不倫相手に対しても請求が可能です。ただし相手が「既婚者であると知らなかった・知ることができなかった」と証明できた場合は請求が認められないことがあります。

不倫相手が既婚者と知らなかった場合はどうなりますか?

「独身だと信じていた」場合、不法行為の要件(故意・過失)を欠くとして慰謝料請求が認められない可能性があります。ただし「知らなかった」と主張するだけでは認められず、実際に知ることができない状況だった(無過失)かどうかが審査されます。

不倫慰謝料請求の時効はありますか?

あります。不倫と相手方の両方を知った時点から3年、または不倫行為があった時点から20年のいずれか早い方が時効です。時効が完成してしまうと、相手方に時効を援用されると請求できなくなります。不倫が発覚したら、なるべく早めに弁護士に相談されることをお勧めします。

配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求できますか?

両方への請求は可能です。ただし、二人は共同不法行為者として連帯責任を負う関係にあるため、受け取れる慰謝料の合計は認定された総額が上限となります。例えば慰謝料総額が200万円と認定された場合、配偶者から150万円を受け取れば不倫相手には残り50万円しか請求できません。同じ損害について二重に賠償を得ることはできない点にご注意ください。

まとめ

  • 不倫は日本の現行法において刑事犯罪ではない——警察に訴えて逮捕させることは原則としてできない
  • 1947年の刑法改正で姦通罪が廃止されて以降、不倫は「民事上の問題」として扱われている
  • 民事上の責任は明確に発生する——民法709条・710条の不法行為として慰謝料請求が可能
  • ストーカー行為・未成年者との関係・リベンジポルノなど付随する行為が伴う場合は例外的に刑事責任が問われる

「不倫をされた」「慰謝料を請求したい」という方は、まず証拠の確保と早期の法律相談が重要です。初回相談は無料です。

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この記事を書いた人

弁護士/心理カウンセラー/夫婦カウンセラー

法律と心、両方の視点から問題に向き合い、「本当に納得できる解決」を大切にしています。
男女問題・借金問題・交通事故など、心の負担が大きいトラブルや人間関係のお悩みに強みがあります。法律実務歴10年以上。安心してご相談ください。

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