裁判所から急に訴状が届いたら

被害者なのに訴状が届いたら

交通事故の被害に遭われて、通院していただけなのに、裁判所から訴状が届いたりしていませんか。

近年、交通事故案件において、加害者である保険会社側からの訴訟提起(裁判)が非常に多くなっています。

もし、被害者なのに訴状が届いた、加害者から訴えられたという場合、すぐにご相談ください。

被害者だから、弁護士なしでも対応できる、ということはありません。そのような甘い考えの場合、裁判に負けることになってしまい、十分な賠償額が得られなくなるどころか、返金を求められる可能性も出てきてしまいます。

以下、被害者であるにもかかわらず、裁判で被告となってしまった場合について、説明します。

自宅に訴状・証拠が届く

一般的には、交通事故証明書記載の被害者の住所に、訴状や証拠、裁判所からの案内等が封入された書類一式が裁判所に届きます。

全て大事な書類になりますので、なくさないようにしましょう。

また、届いた訴状を確認して、どこまでが正しく、どこまでが嘘の話なのか、整理をしておきまそう。

 

初回期日前に答弁書を提出する

訴状一式の中に、裁判所の案内として、「答弁書」を期限内に提出することと、「答弁書」の作成方法について記載された書類が含まれているはずです。

ここで、まず、「答弁書」を提出しない、という選択肢はありません。

これを面倒くさいと思って放置してしまうと、取り返しがつきません。

どういうことかといいますと、何も提出せず、反論をしないという場合、「自白」が成立してしまいます。

「自白」というのは、簡単にいうと相手の主張する事実関係を争わない、ということになりますので、被害者からみて嘘みたいなことばかり訴状に記載されていたとしても、裁判所がそのまま判決の材料にしてしまいます。

当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。

民事訴訟法159条1項

一般的には、加害者からの主張というのは、「賠償する必要は無い」というものですから、「自白」が成立してしまうと、1円も賠償してもらえない、という可能性が圧倒的に高くなります。

また、裁判所の用意する答弁書の作成方法も、争うものとしては必ずしも十分ではありません。

そして、一度「自白」が成立してしまうと、原則として撤回することはできません。

つまり、答弁書の記載内容を誤ってしまうと、これもまた取り返しがつきません。

それは、後でどんな証拠を提出しようが、同じです。手遅れになってしまうのです。

ですから、被害者であったとしても、訴状が届いた段階で、すぐに弁護士に相談するべきなのです。

 

相手の追加主張に対し反論する

仮に、答弁書をうまく提出できたとしても、それで終わりではありません。

加害者側から、追加の主張や証拠提出がなされますので、それに対しても適切に反論しなければなりません。

特に、交通事故に関しては、診断書やカルテの記載への言及など、内容が専門的で複雑になることが多いです。

さらに、加害者側で対応するのは、そのような交通事故を中心的に取り扱う保険会社側の弁護士になります。

経験豊富な弁護士に対し、一人で対抗することは容易ではありません。

 

反訴を提起する

さらに、加害者側からの裁判というのは、あくまで、「賠償する必要が無い」ことを求める、という裁判になります(債務不存在確認請求訴訟)。

そのため、仮に、この裁判で被害者が勝訴したとしても、それは、「賠償する必要が無いとはいえない」という判決が出るのみです。「●●円を支払え」という判決は出ません。

そこで、「●●円を支払え」という判決を求めるために、今後は被害者の方から加害者に対して「反訴」(反対に訴訟提起する、ということ)をしなければなりません。

被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起することができる。

民事訴訟法146条1項本文

 

まとめ

以上のように、被害者の立場であれ、裁判を起こされてしまったら、やらなくてはならないことが多くあります。

しかも、どれもミスをしてしまうと、取り返しがつきません。

そうなる前に、訴状が届いた段階で、すぐに弁護士に相談するのがベストです。

弁護士であれば、あなたの代わりにすべての書類作成や裁判所への出廷を対応してくれます。

当サイトでは、全国どの裁判所の裁判でも対応しておりますので、お気兼ねなくご相談ください。

弁護士 小林 聖詞

弁護士 小林 聖詞

東京弁護士会所属。

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