LINE証拠だけで不貞慰謝料を請求できる?裁判で認められるケースと限界

「配偶者のスマートフォンを見てしまった」「LINEに見知らぬ異性との親密なやり取りが残っていた」…でも、それ以上の証拠がない。「これだけで慰謝料を請求できるのだろうか」——そう思いながらも、どうしたらいいかわからずに相談に来られる方は多くいます。

LINEのメッセージだけで不貞慰謝料を請求できるかどうかは、一概に「できる」とも「できない」とも言えません。結論はメッセージの内容次第です。

しかし、個人的な印象では、ご相談者様が思っているよりも。LINEの証拠は強い、と考えています。

この記事では、男女問題の受任実績1,000件以上の弁護士が、LINE証拠だけで慰謝料請求が認められるケースと認められないケース、証拠が足りないときの対処法を具体的に解説します。

目次

LINE証拠だけで不貞慰謝料を請求できるケース

LINEのメッセージ内容から性的関係の存在が直接推認できる場合は、LINE証拠だけでも慰謝料請求が認められる可能性が十分あります。ホテルの予約確認や宿泊をうかがわせるやり取り、相手の配偶者のことを話しているなど、既婚者であることを知っているやり取りがある場合などが典型です。

不貞行為に基づき慰謝料請求をする場合、大きなポイントは、「不貞行為」、すなわち、配偶者以外の者との性的関係(主に肉体関係)があったこと、および、その時点で、相手が既婚者であると知っていた(故意)、または調べれば知ることができた(過失)といえるか、になります。

つまり証拠として必要なのは、単に「仲が良かった」という事実ではなく、「肉体関係があった」ということ・「既婚者であると知っていたこと」を裏付ける内容です。

LINEのメッセージが肉体関係を「直接推認できる」とされやすい内容には、以下のようなものがあります。

  • 「昨夜は最高だった」「また会いたい」といった性的な行為後を示す内容
  • ホテルの予約確認メッセージや部屋番号のやり取り
  • 「今夜も泊まっていく?」「〇〇ホテルの同じ部屋を取った」などの宿泊を前提とした会話
  • 性的な写真や動画のやり取り

また、LINEのメッセージが、相手が既婚者であることを知っていた(故意)ことを推認できるとされやすい内容には、以下のようなものがあります。

  • 妻・夫という名称がやり取りに出てくる
  • 相手の子供についてのやり取りがある
  • 「ばれない?」「メッセージは必ず消して」「帰宅が遅くなっても大丈夫?」など、発覚を恐れている様子がある

こうした内容がLINEに残っている場合は、他の証拠がなくても慰謝料請求の交渉を進められる可能性が高いです。

LINE証拠だけでは不十分なケース

ただ、「好き」「会いたい」といった親密なやり取りだけでは、性的関係の存在を立証するには不十分とされるのが実務の傾向です。肉体関係を直接示す内容がなければ他の証拠が必要になります。

実務上、慰謝料請求が認められにくい典型的なLINEの内容は以下の通りです。

LINEの内容慰謝料請求への評価理由
「好き」「大好き」「愛してる」不十分精神的な好意のみで肉体関係を示さない
「また会いたい」「今夜空いてる?」不十分会っている事実のみで性的関係を立証できない
「昨日楽しかった」「また行こうね」不十分何をしたか不明。友人的な関係と区別がつかない
「お互い既婚者だから気をつけないとね」状況による不貞を暗示するが直接証拠ではない

「不倫している雰囲気」は伝わっても、裁判所が「肉体関係あり」と認定するには至らない内容のケースが多いのが実情です。相手方も「ただの友人だった」と主張すれば、こうした内容だけでは反論が難しくなります。

LINE証拠を補強するために集めるべき追加証拠

写真・ホテルの利用明細・GPSの記録・探偵の調査報告書などがLINE証拠を補強します。証拠は複数組み合わせることで認定される可能性が高まります。

有効な補強証拠の例

証拠の種類具体的な内容収集の難易度
ホテルの利用明細・領収書チェックイン・チェックアウトの時間、部屋のタイプ本人の荷物・財布から確認できれば低い
探偵(興信所)の調査報告書ホテルへの入室・退室を目撃した報告書費用はかかるが証拠力が高い
GPSの位置情報記録深夜にホテル周辺に長時間滞在した記録車のGPS・スマートフォンの履歴から LINEのやり取りとの組み合わせが大切

探偵の調査報告書は、ホテルへの入室と退室を現認した内容であれば、裁判でも高い証拠力を持ちます。LINEの内容と組み合わせることで、裁判所が肉体関係を認定しやすくなります。

なお、探偵費用を不貞慰謝料とは別に相手方へ請求できるかについては、当然に請求できるものではなく、どうして探偵に依頼する必要があったのか、費用や方法が相当か、といった観点からの主張立証が求められます。全額を相手方から回収できるとは限らないため、探偵への依頼を検討する際は、事前に弁護士に費用対効果を確認することが重要です。詳しくはこちらの記事をご確認ください。

LINE証拠の保存方法と注意点

LINEのテキストデータだけでは改ざんの疑いを指摘されることがあります。相手のアカウント名・日時・前後のやり取りが途切れなく写っている状態で保存することが重要です。

LINEの証拠保存でよくある失敗は、LINEのテキストデータだけ保存してしまい、スクリーンショットを全くとっていなかった場合や、問題のメッセージだけをトリミングして保存してしまい、日付等がわからないことなどです。前後の文脈が切れていると、改ざんや曲解を疑われます。以下の点に注意して保存してください。

  • 相手の名前・アイコン(プロフィール画像)が写り込むよう撮影する
  • メッセージの送受信日時がわかる状態で撮影する
  • 前後のやり取りを省略せず、会話の流れが追えるよう保存する
  • 撮影したスクリーンショットの撮影日時がわかるよう、スマートフォンのカメラロールに日付入りで保存する
  • 大量の場合は、動画で撮影したり、テキストデータで保存するにしても、重要なところはスクリーンショットで保存するようにする

配偶者のスマートフォンを無断で確認した場合は?

配偶者のスマートフォンを無断で確認してLINEを見た場合でも、取得した証拠が裁判で全く使えなくなるわけではありません。ただし、パスワードを不正に解除したり、第三者のスマートフォンに無断でアクセスしたりした場合は別途問題になることがあります。証拠の取得方法については弁護士に事前に相談することをお勧めします。

よくある質問

相手がLINEのメッセージを削除していた場合は証拠になりませんか?

相手がメッセージを削除しても、こちら側の画面に残っているメッセージは証拠として使えます。LINEの「削除」機能は送った側が自分の画面から消せるだけで、受信側の画面にある内容は消えません。ただし「全員のトークから削除」機能(24時間以内の場合)で相手側から削除されると、受信側からも消える仕様になっているようです。

気がついたら、すぐスクリーンショットを撮ることが重要です。

LINEの通話履歴だけでは不貞の証拠になりませんか?

通話履歴(通話した日時・回数・時間)だけでは肉体関係の立証には不十分です。「連絡を頻繁に取っていた事実」は示せますが、それが性的関係の存在につながるとは限りません。

通話履歴はメッセージ内容や他の証拠と組み合わせて初めて意味を持ちます。

不正に取得したLINEのスクリーンショットは裁判で使えますか?

証拠の違法収集については、日本の民事訴訟では刑事訴訟ほど厳格な排除ルールは適用されませんが、取得方法が著しく反社会的である場合は証拠として採用されないことがあります。

配偶者のスマートフォンを一時的に操作してスクリーンショットを撮ったという程度では、多くの場合証拠として扱われています。

ただし、パスワードを解析してアカウントに侵入したなど、個別の事情によって判断が異なるため、心配な場合は弁護士に確認してください。

初回相談は無料です。

お問い合わせ・ご相談はこちら

03-6206-6168

受付時間: 平日 10:00~19:00

お問い合わせ・ご相談はこちら

03-6206-6168

受付時間: 平日 10:00~19:00

この記事を書いた人

弁護士/心理カウンセラー/夫婦カウンセラー

法律と心、両方の視点から問題に向き合い、「本当に納得できる解決」を大切にしています。
男女問題・借金問題・交通事故など、心の負担が大きいトラブルや人間関係のお悩みに強みがあります。法律実務歴10年以上。安心してご相談ください。

目次