自己破産しても引っ越しできる?賃貸の審査より先に考えたい引っ越し費用

ご相談者様の中には、今の住まいの家賃が収入に見合わなくなってしまって、自己破産を機に家賃の安い部屋に移りたいとお考えになっている方や、自己破産をすると賃貸の審査に通らなくなり、引っ越しができなくなってしまうのではないかと心配されて、手続に踏み切れなくなってしまっている方がいらっしゃいます。
自己破産をしても、引っ越しをすることや、賃貸の部屋を借りる契約をすることはできます。管財事件の手続中だけは、住まいを移すのに裁判所の許可が必要になりますが、実際に問題になりやすいのは、賃貸の審査よりも、新たな借入れができない中での、引っ越しの費用の準備です。以下、手続の種類による違いと、賃貸の審査、引っ越しの費用の準備についてお話しします。
なお、借金・債務整理のご相談は、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。
自己破産をしても、引っ越しや賃貸の契約をすることはできます
自己破産をしたことによって、住む場所を自由に選べなくなったり、賃貸の部屋を借りる契約が法律で禁じられたりすることはありません。
自己破産の前後に引っ越しをされたご相談者様もいらっしゃいますが、賃貸の審査が問題になったことは特にありませんでした。もっとも、審査の結果は、物件の管理会社や保証会社がそれぞれの基準で判断するもので、審査に通ることをお約束できるものではありません。
むしろ、引っ越しをされる方がお困りになることが多いのは、費用の面です。自己破産のご依頼のあとは、新たな借入れやクレジットカードの利用ができなくなりますので、敷金や礼金、引っ越し業者の費用などを、借入れに頼らずに用意しなければならなくなります。引っ越しを考えていらっしゃる方は、時期と費用の見通しを、ご依頼の段階から立てておくことが大切です。
同時廃止であれば、引っ越しについての制限はありません
自己破産の手続には、財産や借入れの経緯を調べる破産管財人が裁判所から選ばれる管財事件と、管財人が選ばれずに手続が終わる同時廃止の二つがあります。
同時廃止の場合には、破産手続が始まると同時に終わりますので、引っ越しについての制限はありません。免責の判断が出るまでの間に引っ越しをすることもできますが、住所が変わった場合には、裁判所からの書類が届くように、弁護士にお知らせいただく必要があります。
管財事件の手続中は、住まいを移すのに裁判所の許可が必要です
管財事件になった場合、破産手続が続いている間は、裁判所の許可を得なければ、住んでいる場所を離れることができないとされています(破産法37条)。手続の中で、破産管財人からの問い合わせや面談に応じていただく必要があるためです。
管財事件の手続中に引っ越しをする必要が出てきた場合には、引っ越しの前に、弁護士を通じて裁判所に許可を求めることになります。引っ越しの理由や、新しい住所、引っ越しの時期をお知らせいただければ、その手続をこちらで進めます。家賃の安い部屋に移る、勤務先が変わるといった、生活のための引っ越しであれば、理由をご説明することは難しくありません。
許可を得ないまま引っ越しをしてしまうと、手続の中で問題になるおそれがありますので、引っ越しの予定が決まりそうになった段階で、早めにご相談ください。
管財事件では、破産管財人のもとにご本人宛ての郵便物が届けられる扱いになっていますので、引っ越しをする場合には、郵便物の扱いもあわせて確認することになります。
賃貸の審査で見られるのは、主に保証会社による審査です
賃貸の部屋を借りる際には、家賃の保証会社を利用することを条件にしている物件が多く、審査では、物件の管理会社や大家さんのほか、保証会社による審査を受けることになります。
保証会社の中には、クレジットカード会社などの信販会社が運営していて、信用情報(いわゆるブラックリスト)を確認する会社もあれば、信用情報を確認せず、独自の基準で審査をする会社もあります。自己破産をすると、信用情報に記録が残りますので、信用情報を確認する保証会社の場合には、審査に影響が出ることがあります。
もっとも、どの保証会社を利用するかは物件ごとに決まっていることが多く、審査の基準も会社ごとに異なります。物件を探す際には、不動産会社に、利用できる保証会社の種類を尋ねてみることもできます。また、ご家族に連帯保証人になっていただくことで、保証会社を使わずに契約できる物件もあります。
なお、入居の申込みの際に、自己破産をしたことをご自身から伝えなければならない決まりはありません。ただし、申込書に記載する収入や勤務先などの内容は、事実のとおりに記載していただくことになります。
家賃の支払いを保証会社に立て替えてもらったことがある場合は、注意が必要です
今の住まいの家賃を滞納してしまっていて、保証会社に家賃を立て替えて払ってもらったことがある場合には、その保証会社や、同じグループの会社の審査では、その記録をもとに判断されることがあります。
また、家賃を滞納したままの状態で引っ越しをする場合、滞納している家賃は、ほかの借入れと同じように手続の対象になり、滞納している家賃だけを先に払ってから出ていくことは、一部の債権者にだけ返済をすることになるため、ご依頼のあとはお控えいただくことになります。
家賃の滞納がある場合の扱いや、今の住まいに住み続けられるかどうかにつきましては、自己破産と滞納家賃に記載しております。
引っ越しの費用は、借入れに頼らずに準備することになります
引っ越しをする際には、次のような費用がかかります。
- 新しい部屋の敷金・礼金、仲介手数料、前家賃
- 保証会社の初回の保証料、火災保険料
- 引っ越し業者の費用
物件によっては、これらを合わせて家賃の数か月分になることもあります。自己破産のご依頼のあとは、新たな借入れやクレジットカードの分割払いは使えませんので、これらの費用は、毎月の収入の中から積み立てるなどして、借入れに頼らずに準備していただくことになります。
管財事件になる場合には、弁護士費用とは別に、裁判所に納める引継予納金の積み立ても必要になり、東京地方裁判所では原則として20万円です。このほかに、官報公告費用などの実費として、およそ2万円がかかります。引っ越しの費用と手続の費用の両方を同じ時期に用意することは難しいことが多いため、引っ越しをいつにするかは、手続の費用の準備とあわせて考えていくことになります。
費用の準備の方法につきましては、自己破産の費用は、全額用意できていなくても依頼できる?に記載しております。
今の住まいの敷金や、ご家族からの援助は、手続の中で扱いを確認します
今の住まいを退去する際に、敷金が戻ってくることがあります。戻ってきた敷金は、ご本人の財産として扱われますので、それを引っ越しの費用にあてる場合には、使い道も含めて手続の中でご説明いただくことになります。
また、ご家族から引っ越しの費用の援助を受ける場合には、そのお金が借りたものなのか、もらったものなのかによって、手続の中での扱いが変わります。ご家族から借りる形にしますと、そのお金も新たな借入れとして扱われることになりますので、援助を受ける前に、一度ご相談いただければと思います。
家賃の安い部屋に移ることは、自己破産のあとの家計を立て直すうえで意味のあることですが、引っ越しの時期や費用のあて方によっては、手続の中で説明を求められることもあります。引っ越しをお考えの場合には、物件を決める前にお知らせください。
よくあるご質問
自己破産をしても、引っ越しをすることや、賃貸の部屋を借りる契約をすることはできます。管財事件の手続中は、住まいを移すのに裁判所の許可が必要になりますが、実際に問題になりやすいのは、賃貸の審査よりも、新たな借入れができない中での、引っ越しの費用の準備です。
自己破産を機に住まいを移したいとお考えの方は、今の家賃と引っ越しのご予定をお知らせいただいて、一度状況をお聞かせください。
なお、借金・債務整理のご相談は、弁護士会の規程により対面での面談が必要となります。そのため、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。初回のご相談は無料です。









