自己破産で生命保険は解約される?解約返戻金と掛け捨て・学資保険の違い

ご相談者様の中には、自己破産を考えてはいるものの、長く払い続けてきた生命保険や、お子様のために入った学資保険を解約しなければならなくなるのではないかと心配になってしまって、そこからお問い合わせができなくなってしまった、という方がいらっしゃいます。持病があって、今の保険を解約すると新しく入り直すことが難しいという方にとっては、なおさら大きな不安だと思います。
自己破産をしても、保険がすべて解約されるわけではありません。保険が解約されることになるかどうかは、主に解約返戻金の額によって変わり、掛け捨ての医療保険のように解約返戻金がない保険や、返戻金の少ない保険は、原則としてそのまま続けることができます。以下、保険の種類ごとの扱いと、申立ての前に気をつけていただきたいことをお話しします。
なお、借金・債務整理のご相談は、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。
保険が解約されるかどうかは、解約返戻金の額によって変わります
自己破産の手続では、申立てをする方がお持ちの財産を調べ、一定の額を超える財産は、お金に換えて債権者への配当にあてることになります。生命保険の場合、この「財産」にあたるのは、保険そのものではなく、いま解約したら保険会社から戻ってくるお金である解約返戻金です。
そのため、同じ生命保険であっても、解約返戻金がほとんどない保険と、貯蓄性が高く返戻金が積み上がっている保険とでは、扱いが大きく変わります。解約返戻金の額は、保険の種類、加入してからの年数、保険料の払込みの状況によって異なり、ご本人も正確な額をご存じないことが少なくありません。
当事務所では、解約返戻金の額によって扱いが変わることをご説明したうえで、保険を残せるかどうかは、面談で保険証券を拝見して確認しております。保険証券がお手元にない場合でも、保険会社に問い合わせれば、解約返戻金の額が分かる書類を出してもらうことができます。
掛け捨ての医療保険・がん保険は、原則としてそのまま続けられます
掛け捨て型の医療保険やがん保険、定期保険は、解約しても戻ってくるお金がないか、ごくわずかであることが多く、財産としての価値がほとんどありません。そのため、自己破産をしても、原則としてそのまま続けることができます。
保険料を払い続けるかどうかは、破産の手続の中でも生活費の一部として見られます。収入と比べて保険料の負担が大きすぎる場合には、家計の見直しとして、内容を整理することをおすすめする場合もありますが、それは保険を取り上げられるということとは別のお話です。
なお、掛け捨ての保険であっても、申立ての際には、加入している保険をすべてお伝えいただく必要があります。手続の中では、保険料の引き落としが通帳に出てきますので、その保険が何であるかを説明できるようにしておくと、手続がスムーズです。
解約返戻金が多い保険は、手続の中で解約を求められることがあります
終身保険や養老保険、個人年金保険のように、払い込んだ保険料の一部が積み立てられていく保険は、加入期間が長くなるほど解約返戻金が大きくなっていきます。解約返戻金が一定の額を超える場合には、財産としてお金に換える対象になり、手続の中で解約を求められることがあります。
解約返戻金のような財産がある場合、自己破産の手続は、破産管財人という弁護士が裁判所から選ばれて財産を調べる「管財事件」になることがあります。管財事件では、弁護士費用とは別に、裁判所に納める引継予納金が必要になり、東京地方裁判所では原則として20万円です。このほかに、官報公告費用などの実費として、およそ2万円がかかります。
もっとも、解約返戻金が多いからといって、保険をあきらめるしかないとは限りません。事情によっては、解約返戻金に相当するお金を別に用意して手続に組み入れることで、保険を続けられる場合もあります。どのような方法がとれるかは、返戻金の額と、ほかにお持ちの財産、ご家族の状況によって変わりますので、面談で具体的にお話しします。
学資保険も、契約者が親であれば親の財産として扱われます
学資保険は、お子様の進学に備えて入るものですので、お子様のための財産だと考えていらっしゃる方が多いと思います。ですが、学資保険の契約者が親である場合、解約返戻金を受け取る権利は契約者である親にありますので、自己破産の手続では、親の財産として扱われます。
お子様が被保険者や受取人になっていても、契約者が親であれば、この扱いは変わりません。学資保険は貯蓄性のある保険ですので、加入してからの年数によっては、解約返戻金がかなりの額になっていることもあり、その場合には、ほかの貯蓄性のある保険と同じように、解約返戻金の額が問題になります。
学資保険を残せるかどうかも、解約返戻金の額と、ほかの財産の状況を見て判断することになりますので、保険証券をお持ちいただいて、面談で確認いたします。
契約者貸付を受けている場合は、その分もあわせてお伝えください
生命保険の中には、解約返戻金の範囲内で保険会社からお金を借りることができる「契約者貸付」という仕組みがあるものがあります。生活費の不足を補うために、この契約者貸付を利用していらっしゃる方も少なくありません。
契約者貸付を受けている場合、解約返戻金の額から借りている額が差し引かれることになりますので、財産として見られる額も、その分だけ少なくなるのが通常です。一方で、いつ、いくら借りて、何に使ったのかは、手続の中で確認されることがあります。
契約者貸付は、ほかの借入れと違ってカード会社や消費者金融からの借金ではありませんので、債務としてお伝えいただくのを忘れてしまう方もいらっしゃいます。保険会社から届いている貸付の残高のお知らせなどがあれば、面談の際にお持ちいただけますとスムーズです。
申立ての前に保険を解約したり、名義を変えたりしてはいけません
保険を守りたいというお気持ちから、自己破産の申立ての前に、保険の契約者をご家族に変えておこうとお考えになる方がいらっしゃいます。また、解約返戻金を受け取って、生活費や一部の借入れの返済にあててしまおうとお考えになる方もいらっしゃいます。
ですが、申立ての前に保険の名義をご家族に変えることは、財産を隠したり、ほかの人に移したりする行為として見られるおそれがあり、免責が認められない理由になることがあります。名義を変えたことは、保険会社の記録や通帳の動きから分かることが多く、手続の中で、名義変更をなかったものとして扱われる場合もあります。
また、解約返戻金を受け取って一部の債権者にだけ返済してしまうと、債権者を平等に扱わなければならないという破産の手続の考え方に反することになり、こちらも手続の中で問題になります。受け取ったお金を生活費として使った場合でも、その使い道を説明する必要があります。
保険をどうするかは、ご自身で先に動いてしまわれる前に、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。保険を残す方法を検討できる余地があっても、先に解約や名義変更をしてしまうと、その余地がなくなってしまうことがあります。
ご依頼のあとの流れと、保険について確認すること
ご依頼をいただいたあと、弁護士費用の初回のお支払いのあと(法テラスの立替制度をご利用の場合はご契約の時点)に、債権者に受任通知を送ります。受任通知が届くと、債権者からご本人への督促は止まります。
申立ての準備では、加入している保険の一覧と、それぞれの保険証券の写し、解約返戻金の額が分かる書類をご用意いただくことになります。保険料を払い続けるかどうか、保険を残すためにどのような方法をとるかは、この書類がそろった段階で、具体的にご相談しながら決めていきます。
自己破産の手続の全体の流れにつきましては、自己破産とはに、費用の準備につきましては、自己破産の費用は、全額用意できていなくても依頼できる?に記載しております。
よくあるご質問
自己破産をしても、保険がすべて解約されるわけではなく、保険を残せるかどうかは、主に解約返戻金の額によって変わります。掛け捨ての保険は原則としてそのまま続けることができ、学資保険や貯蓄性のある保険も、返戻金の額やほかの財産の状況によっては、残す方法を検討できる場合があります。
申立ての前に解約や名義変更をしてしまうと、かえって選べる方法が狭まってしまうことがあります。保険のことが気がかりで自己破産をためらっていらっしゃる方は、保険証券をお持ちいただいて、一度状況をお聞かせください。
なお、借金・債務整理のご相談は、弁護士会の規程により対面での面談が必要となります。そのため、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。初回のご相談は無料です。








