奨学金がある人が自己破産すると、保証人の親はどうなる?先に考えておくこと

ご相談者様の中には、ほかの借入れの返済が難しくなって自己破産を考えていらっしゃるものの、日本学生支援機構の奨学金の連帯保証人がご両親になっていて、自分が破産をすると親に請求がいってしまうのではないかと心配されて、そこから先に進めなくなってしまっている方がいらっしゃいます。奨学金だけは手続から外して、自分で払い続ければよいのではないか、とお考えになる方もいらっしゃいます。
自己破産では、奨学金だけを手続から外すことはできず、人的保証で奨学金を借りている場合には、保証人の方に残りの額の請求がいくことになります。そのため、ご自身の手続だけでなく、保証人になっている親御さんの側でどうするかまで含めて、申立ての前に見通しを立てておくことが大切です。以下、保証の種類による違いと、親御さんへの影響、自己破産以外の方法も含めた選択肢をお話しします。
なお、借金・債務整理のご相談は、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。
自己破産では、奨学金だけを手続から外すことはできません
自己破産の手続では、すべての債権者を平等に扱うことが求められており、申立ての際には、奨学金を含めたすべての借入れを債権者の一覧に記載することになります。特定の債権者だけを手続から外したり、その債権者にだけ返済を続けたりすることは認められていません。
返済ができない状態になったあとに、奨学金だけを返し続けた場合、その返済は、ほかの債権者との平等を害する行為として、破産管財人によって取り消されたり、免責の判断で不利に扱われたりするおそれがあります。親御さんに迷惑をかけたくないというお気持ちからであっても、ご自身の判断で奨学金だけを返し続けることは避けていただくことになります。
免責が認められた場合には、奨学金も、ほかの借入れと同じように、ご自身が支払う必要のないものになります。
機関保証か人的保証かで、親御さんへの影響が変わります
日本学生支援機構の奨学金を借りる際には、保証の方法として、機関保証と人的保証のどちらかを選ぶことになっています。
機関保証は、保証料を支払って、保証機関に保証をしてもらう方法です。機関保証の場合、ご本人が自己破産をすると、保証機関が日本学生支援機構に残りの額を支払い、その後は保証機関が債権者として手続に加わることになりますので、親御さんに請求がいくことはありません。
人的保証は、連帯保証人と保証人を一人ずつ立てる方法で、連帯保証人には原則として父母が、保証人には、ご本人や連帯保証人と別の生計を営むおじ・おば・兄弟姉妹などの親族がなることが多くなっています。人的保証の場合は、ご本人の自己破産によって、連帯保証人と保証人に請求がいくことになります。
どちらの保証で借りているかは、奨学金を借りた際の返還誓約書の控えや、日本学生支援機構から届いている書類で確認することができます。お手元に書類が見当たらない場合には、ご相談の際にその旨をお伝えいただければ、確認の方法をご案内いたします。
人的保証の場合、連帯保証人の親御さんに残りの額が一括で請求されることがあります
ご本人が自己破産をしても、それによって免除されるのはご本人の支払いの義務で、保証人の方の義務は残ります。人的保証の場合には、日本学生支援機構から連帯保証人である親御さんに対して、残りの奨学金の支払いが求められることになり、それまでの月々の返還ではなく、残りの額を一括で支払うよう請求されることがあります。
奨学金は、借りていた期間や金額によっては残りの額が数百万円になることもあり、親御さんにとっては、突然大きな額を請求されることになってしまいます。
ご本人の免責によって、親御さんの保証の義務まで消えるわけではないという点は、ご依頼の前に知っておいていただきたいことです。
連帯ではない「保証人」は、半分までしか支払う必要がない場合があります
人的保証のうち、連帯保証人ではない「保証人」の方には、分別の利益という考え方があてはまる場合があります。
分別の利益とは、保証人が複数いる場合に、それぞれの保証人は、保証人の数で割った額についてだけ支払う義務を負うという民法の考え方です。連帯保証人にはこの考え方はあてはまらず、残りの額の全額を請求されることになりますが、連帯ではない保証人の方は、連帯保証人と保証人の二人で保証している場合、残りの額の半分までしか支払う必要がない場合があります。
保証人になっているおじ・おばの方などに請求が届いた場合には、全額を支払う前に、支払う義務がどこまでなのかを確認していただくことが大切です。
親御さんが一括で払えない場合には、分割の相談や、親御さん自身の債務整理を検討します
親御さんに一括で支払う余裕がない場合でも、すぐに支払えないことだけで、生活が成り立たなくなるわけではありません。
まずは、日本学生支援機構に対して、分割での支払いができないかを相談していただくことになります。そのうえで、親御さんご自身にもほかの借入れがあり、保証の分まで含めると返済が難しい場合には、親御さんご自身の債務整理を検討することもあります。親御さんが任意整理や自己破産をする場合は、ご本人とは別の手続になります。
親御さんの状況によって、どの方法が合っているかは異なりますので、ご本人の手続と合わせて、親御さんの側の見通しもお話しできるようにしております。
奨学金を手続から外したい場合は、任意整理という方法があります
自己破産と違って、任意整理では、手続の対象にする債権者を選ぶことができます。任意整理とは、弁護士が債権者と個別に交渉して、将来の利息のカットや分割での返済について合意をする手続で、裁判所を通さないため、奨学金を対象から外して、ほかの借入れだけを整理することができます。
奨学金を対象から外せば、ご本人がこれまでどおり奨学金の返還を続けている限り、親御さんに請求がいくことはありません。実際に、奨学金があることを理由に、自己破産ではなく任意整理を選ばれたご相談者様もいらっしゃいます。
ただし、任意整理は借入れの元本を減らす手続ではないため、奨学金の返還を続けながら、ほかの借入れも3年から5年程度で返していける収入があることが前提になります。収入と支出を伺ったうえで、任意整理で返済を続けられるかどうかを一緒に検討いたします。
なお、裁判所を通して借入れを減らす個人再生も、自己破産と同じように、奨学金だけを手続から外すことはできません。手続の違いにつきましては、自己破産と任意整理はどちらを選ぶ?、自己破産と個人再生は何が違う?をご覧ください。
奨学金の返還が苦しいときは、日本学生支援機構の制度もあわせて確認します
奨学金の返還そのものが苦しい場合には、日本学生支援機構に、収入が少ないときに返還を先に延ばしてもらう返還期限猶予や、月々の返還額を減らしてもらう減額返還といった制度があります。
ほかの借入れが少なく、奨学金の返還が負担の中心になっている場合には、こうした制度を利用することで、自己破産をしなくても生活を立て直せることがあります。制度の詳しい内容や利用の条件につきましては、日本学生支援機構のホームページでご確認いただけます。
ご依頼の時点で、親御さんにお話ししておいていただきます
親御さんが連帯保証人になっている場合には、ご依頼の時点で、ご相談者様から親御さんにお伝えいただくようにしております。
自己破産の手続が進むと、日本学生支援機構から親御さんに請求の書類が届くことになりますので、事前にお話しをしていない場合、親御さんにとっては、何の前触れもなく大きな額の請求が届くことになってしまいます。ご本人から先にお話しいただいておくことで、親御さんの側でも、支払いの方法や、ご自身の家計の見直しを考えていただく時間ができます。
親御さんにお話しをすることは、ご相談者様にとって大変つらいことだと思います。どのように伝えればよいか、親御さんからどのようなことを聞かれるかにつきましては、ご相談の際に一緒に考えてまいります。
よくあるご質問
自己破産では、奨学金だけを手続から外すことはできず、人的保証で借りている場合には、連帯保証人の親御さんに残りの額の請求がいくことになります。ご自身の手続を考える際には、親御さんの側での支払いの方法まで含めて、申立ての前に見通しを立てておくことが大切で、奨学金を対象から外したい場合には、任意整理という方法もあります。
どの方法が合っているかは、借入れの状況と収入、保証の種類によって変わります。親御さんへの影響が心配でご相談をためらっていらっしゃる方も、一度状況をお聞かせください。
なお、借金・債務整理のご相談は、弁護士会の規程により対面での面談が必要となります。そのため、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。初回のご相談は無料です。








