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「成年」が18歳となることによる影響(交通事故・民事)

  

 2022年4月より、民法改正に伴い、「成年」が、これまでの20歳以上から、18歳以上に変更となります。

年齢十八歳をもって、成年とする。

民法第4条

 

 これに伴い、様々な影響が生じますが、交通事故分野における影響はどのようなものかについて、これまでの規定を整理つつ、説明いたします。

 結果から申し上げますと、ほとんど影響はないと考えられます。

 

1 加害者が18歳未満だった場合

 まず、未成年者と賠償責任の問題については、民法上、以下のように記載されています。

未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

民法712条

 すなわち、賠償の責任を負わない場合といえるためには、未成年であるだけでなく、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」も無いことが必要、ということになります。

 どの程度の場合であれば「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」が無いといえるかは、ケースバイケースになりますが、12歳前後、小学生か中学生か、というのが一つのポイントになっています。

 そのため、未成年が20歳から18歳になっても、もともと18~19歳には基本的に民法712条は適用されておらず、賠償責任を負うことになっていたので、改正による変更はない、ということになります。

(なお、傷害事案など、自賠法3条が適用される場合には、民法712条に関係なく、賠償責任を負うものと考えられます。)

 

2 被害者が18歳未満だった場合

 被害者が18歳未満であったとしても、加害者に対し、損害賠償請求をすることができます。

 ただし、未成年者が請求をするためには、法定代理人(一般的には親とお考え下さい。)の同意が必要になりますので、これまで18~19歳の被害者が請求する場合は、法定代理人の同意が必要であったものが、今回の改正により不要になる、という変化があります。

※なお、弁護士への依頼についても、同じことがいえます。

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

民法5条1項

 

3 まとめ

 以上より、成年の基準が18歳と改正されることによる影響は、交通事故の賠償問題では、実務上殆どないものと想定されます。

 そうはいっても、10代の交通事故が依然として無くならないのが現状です。

 0~10代で交通事故に巻き込まれたという場合、ご本人様でも、親御様からでも、まずはお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

 弁護士 小林 聖詞

弁護士 小林 聖詞

東京弁護士会所属。

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