自己破産しても税金・国民健康保険料は免除されない?残る支払いと分納の相談

ご相談者様の中には、借入れの返済に追われているうちに、住民税や国民健康保険料の支払いまで手が回らなくなってしまって、役所から督促状が届くようになってしまった方や、自己破産をすれば滞納している税金もまとめてなくなるのではないかとお考えになって、ご相談にいらっしゃる方がいらっしゃいます。
自己破産をしても、税金や国民健康保険料・年金保険料などは免除されず、免責が認められたあとも支払いが残ります。そのため、滞納がある場合には、自己破産の手続と並行して、役所と分納の相談をしておく必要があります。以下、免除されない支払いの種類と、税金の滞納が手続の中でどのように扱われるか、役所での相談の進め方をお話しします。
なお、借金・債務整理のご相談は、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。
自己破産をしても免除されない支払いは、法律で決められています
自己破産の手続で免責が認められると、借入れなどの支払いの義務はなくなりますが、破産法253条1項は、免責が認められても支払いの義務が残るものを定めています。主なものは次のとおりです。
| 種類 | 主な例 |
|---|---|
| 税金や保険料 | 住民税・固定資産税・自動車税などの税金、国民健康保険料、国民年金保険料など |
| 家族の生活のためのお金 | 養育費、婚姻費用 |
| 一定の損害賠償 | 悪意で加えた不法行為による損害賠償、故意または重大な過失で人の生命や身体を害したことによる損害賠償 |
| 罰金など | 罰金、科料など |
このうち、ご相談の中で最も多く問題になるのは、税金と国民健康保険料・年金保険料の滞納です。税金や保険料は、借入れのように誰かから借りたお金ではなく、法律に基づいて納めることになっているものですので、自己破産をしても、その支払いを免れることはできない扱いになっています。
滞納している税金や保険料の本体だけでなく、納付が遅れたことによる延滞金も、同じように支払いが残ります。
税金や保険料の滞納は、手続の途中でも差押えを受けることがあります
消費者金融やクレジットカード会社などの債権者は、弁護士から受任通知を受け取ると、ご本人への督促を止めるのが通常です。受任通知とは、弁護士がご依頼をお受けしたことと、今後の連絡は弁護士にしていただきたいことを、債権者にお知らせする書面です。
一方で、税金や保険料を滞納している場合、役所は、裁判を起こさなくても、自ら財産を差し押さえることができる仕組み(滞納処分)を持っています。受任通知を送ったことで、役所からの督促や差押えが止まるわけではなく、自己破産の手続の途中であっても、預金や給料の差押えを受けることがあります。
預金や給料が差し押さえられてしまうと、生活費が足りなくなったり、管財事件の費用の積み立てが進まなくなったりして、手続そのものに影響が出てしまうおそれがあります。差押えを受ける前に、役所との間で納め方の話し合いをしておくことが大切になるのは、このためです。
滞納がある方には、ご相談の最初の段階から、役所への分納の相談をお勧めしています
税金や国民健康保険料の滞納がある方には、ご相談の最初の段階から、役所に分納の相談に行っていただくようお勧めしております。自己破産の準備が進んでから相談に行くのではなく、借入れの整理と同時に、役所との話し合いを始めていただくという意味です。
役所の窓口では、一度に納めることが難しい事情をお話しいただければ、収入や生活の状況を確認したうえで、分割での納付の相談に応じてもらえることがあります。分納の約束をして、その約束どおりに納めている間は、差押えまで進むことは多くないのが通常ですが、どのような条件で分納を認めるかは、役所の判断によります。
相談に行かれる際には、次のものをお持ちいただくと、話がスムーズに進みます。
- 届いている督促状や納付書
- 給与明細など、現在の収入が分かるもの
- 家賃や光熱費など、毎月の支出が分かるもの
分納の相談で中心になるのは、毎月いくらであれば納めることができるのか、という生活の状況です。自己破産を考えていることをお話しいただかなくても、分納の相談をすることはできます。
なお、自己破産の手続の中でも、滞納している税金や保険料は、申立ての際に申告していただくことになります。滞納していることを隠す必要はなく、役所と分納の約束をしていることも、あわせてお伝えいただければと思います。
分納の額は、自己破産で返済がなくなったあとの家計をもとに考えます
借入れの返済が続いている間は、税金や保険料まで納める余裕がなく、分納の額も小さくしか約束できないことが多いと思います。
自己破産の手続を進めて免責が認められれば、借入れの返済はなくなりますので、それまで返済にあてていたお金を、税金や保険料の分納にあてることができるようになります。分納の額をどの程度にするかは、自己破産のあとの毎月の収入と支出の見通しをもとに考えていくことになります。
ただし、管財事件になる場合には、手続の費用として裁判所に納める引継予納金の積み立ても並行して必要になります。管財事件とは、財産や借入れの経緯を調べる破産管財人が裁判所から選ばれる手続のことで、東京地方裁判所では、引継予納金は原則として20万円です。このほかに、官報公告費用などの実費として、およそ2万円がかかります。
分納の額と、引継予納金の積み立てと、日々の生活費の三つをどう配分するかは、面談の際に家計の状況を伺いながら、一緒に組み立ててまいります。費用の準備の方法につきましては、自己破産の費用は、全額用意できていなくても依頼できる?に記載しております。
住民税は前年の所得で決まるため、収入が減った年にも請求が届きます
住民税は、その年の収入ではなく、前の年の1月から12月までの所得をもとに金額が決まる仕組みになっています。そのため、退職や休職などで収入が減ってしまった年でも、前の年に収入があった場合には、それをもとにした住民税の納付書が届きます。
会社にお勤めの方は、住民税が毎月の給料から天引きされていることが多く、その間は滞納になりにくいのですが、退職によって天引きができなくなると、残りの住民税をご自身で納めることになり、まとまった額の納付書が届くことがあります。借入れの返済が苦しくなった時期と、退職の時期が重なってしまって、住民税の滞納が生じてしまったという方もいらっしゃいます。
自己破産をした年やその翌年の住民税も、前の年の所得をもとに決まり、自己破産によってこれから納める住民税が安くなるということはありません。収入が大きく減ってしまった場合には、市区町村によっては住民税の減免の制度がありますので、窓口でご相談いただくことができます。
国民健康保険料と国民年金保険料には、所得が少ない場合の制度があります
国民健康保険料も、前の年の所得をもとに金額が決まります。収入が大きく減ってしまった場合や、生活が苦しい事情がある場合には、市区町村によって保険料の減免の制度が設けられていることがあります。
国民年金保険料には、所得が一定の額より少ない場合に、保険料の納付が免除されたり、猶予されたりする制度があります。これから先の保険料の負担を軽くするために、市区町村の窓口や年金事務所で、制度が使えるかどうかを確認していただくことをおすすめします。
ただ、これらの制度は、すでに滞納してしまっている分がなくなるというものではありません。滞納している分については、分納の相談をしながら、少しずつ納めていくことになります。
滞納を続けたままにすると、保険証や年金にも影響することがあります
国民健康保険料の滞納が長く続くと、通常の保険証に代わって、有効期間の短いものが交付されたり、医療機関の窓口でいったん医療費の全額を支払うことになったりする扱いを受けることがあります。また、国民年金保険料を納めていない期間は、将来受け取る年金の額に影響するほか、障害年金を受け取ることができなくなるおそれもあります。
自己破産で借入れの返済がなくなっても、税金や保険料の滞納がそのまま残っていると、生活の立て直しが思うように進まなくなってしまいます。借入れの整理と、税金や保険料の分納を同時に進めていくことで、手続が終わったあとの生活を安定させることにつながります。
自己破産の手続の全体の流れにつきましては、自己破産とはをご覧ください。
よくあるご質問
自己破産をしても、税金や国民健康保険料・年金保険料などは免除されず、免責が認められたあとも支払いが残ります。役所からの差押えは、受任通知を送っても止まるものではありませんので、滞納がある場合には、自己破産の手続と並行して、早い段階から役所と分納の相談をしておくことが大切です。
借入れの返済と税金の滞納の両方でお困りの方は、届いている督促状や納付書をお持ちいただいて、一度状況をお聞かせください。
なお、借金・債務整理のご相談は、弁護士会の規程により対面での面談が必要となります。そのため、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。初回のご相談は無料です。








