自己破産の前にボーナスが入ったら?手元に残る分の扱いと使い道の注意点

ご相談者様の中には、自己破産を考えている時期にボーナスが支給されることになって、受け取ったボーナスがすべて取り上げられてしまうのではないかと心配になってしまった方や、せっかくのボーナスなので、取り上げられる前に家族や知人からの借入れだけでも返しておきたいとお考えになっている方がいらっしゃいます。

自己破産の申立ての前に受け取ったボーナスは、手元に残っている分が、預金や現金として財産の扱いを受けます。受け取った時点ですべてが取り上げられるわけではありませんが、一部の債権者にだけ返済することは手続の中で問題になりますので、使い道と残し方を弁護士と相談しながら進めていくことが大切です。以下、ボーナスが財産としてどう扱われるのか、使ってよいもの・控えていただきたいものについてお話しします。

なお、借金・債務整理のご相談は、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。

目次

受け取ったボーナスは、預金や現金として財産の扱いを受けます

自己破産の手続では、手続が始まった時点でお持ちの財産が、債権者への配当などにあてられる対象になります。手続が始まるのは、裁判所が破産手続開始の決定をした時点です。

ボーナスは、勤務先から支給された時点で、給与の振込口座の預金になったり、引き出して現金になったりします。そのため、申立ての前に受け取ったボーナスは、「ボーナス」という特別な扱いを受けるのではなく、手続が始まった時点で口座や手元に残っている預金や現金として扱われることになります。

ボーナスとして受け取ったお金であっても、生活費などに使ってすでに手元にない分は、残っている財産として扱われることはありません。ただし、何にいくら使ったのかは、申立ての際に通帳の写しなどを提出して、入出金の内容としてご説明いただくことになります。

ボーナスがすべて取り上げられるわけではありません

自己破産をしても、財産のすべてを手放さなければならないわけではなく、生活に必要な一定の範囲の財産は、手元に残すことができます。手元に残すことのできる財産を、自由財産といいます。

破産法では、99万円までの現金は自由財産とされています。預金は、法律上は現金とは別の財産として扱われますが、残高がそれほど多くない場合には、手元に残すことができる扱いになることが多くなっています。どの程度の額までが手元に残せるかは、裁判所の運用や、ほかにお持ちの財産との関係によって変わりますので、ボーナスの額とほかの財産を伺ったうえで、面談でお伝えいたします。

一方で、手元に残っている額が大きい場合には、その一部を債権者への配当にあてるために手続に組み入れることになったり、財産を調べる必要があるとして、破産管財人が選ばれる管財事件になったりすることがあります。管財事件とは、裁判所から選ばれた破産管財人が、財産や借入れの経緯を調べる手続のことです。

ボーナスで一部の債権者にだけ返済することは、手続の中で問題になります

ボーナスが入ったときに、家族や知人、勤務先からの借入れ、保証人になってもらっている方への借入れなど、迷惑をかけたくない相手にだけでも返しておきたい、とお考えになる方もいらっしゃいます。

ですが、自己破産の手続では、すべての債権者を平等に扱うことが求められており、返済ができない状態になったあとに、特定の債権者にだけ返済することは認められていません。このような返済を、偏頗弁済といいます。

偏頗弁済をしてしまうと、管財事件では、破産管財人がその返済を取り消して、返済を受けた方からお金を取り戻すことがあります。家族や知人に返したつもりのお金が、その方から取り戻されることになってしまい、かえってご迷惑をかけてしまうことになりかねません。返済をしたのがご依頼の前であっても、返済ができない状態になったあとのものであれば、同じように問題になることがあります。また、偏頗弁済は免責の判断の中でも不利に扱われるおそれがあります。

ボーナスで特定の方に返済をしようとお考えの場合には、返済をしてしまう前に、ご相談いただければと思います。すでに返済をしてしまった場合でも、隠さずにお話しいただければ、そこから進め方を一緒に考えてまいります。

生活費や弁護士費用・予納金にあてることは、使い道としてご説明することができます

ボーナスを、日々の生活費や、家賃・光熱費などの毎月の支払いにあてることは、生活のために必要な支出として、使い道をご説明することができます。

また、自己破産の手続を進めるための弁護士費用や、裁判所に納める費用にあてることも、手続に必要な支出として扱われます。管財事件になった場合には、弁護士費用とは別に、裁判所に納める引継予納金が必要になり、東京地方裁判所では原則として20万円です。このほかに、官報公告費用などの実費として、およそ2万円がかかります。

ボーナスが支給される見込みがある方には、管財事件になった場合の費用として、ボーナスを取っておいていただくようお伝えしております。管財事件になるかどうかは、財産の状況や借入れの経緯によって決まりますので、どの程度の額を取っておくかは、面談の際に見通しをお伝えしながらご相談します。

費用の準備の方法につきましては、自己破産の費用は、全額用意できていなくても依頼できる?に記載しております。

高額な買い物や、使い道の説明がつかない支出は控えていただきます

ボーナスが財産として扱われることを心配されて、申立ての前に使い切ってしまおうとお考えになる方もいらっしゃいますが、高額な買い物や旅行、ギャンブルなどにボーナスを使ってしまうと、財産を減らす行為として、免責の判断の中で問題になるおそれがあります。

また、ボーナスを引き出して、ご家族の口座に移したり、現金で保管したりして、申立ての際に記載しないということは、財産を隠す行為として扱われ、免責が認められなくなるおそれがあります。

ボーナスの使い道に迷われる場合には、使う前にご相談いただければ、手続の中でご説明できる使い方かどうかをお話しします。何に使ったかが分かるように、領収書やレシートを残しておいていただくとスムーズです。

申立ての時期とボーナスの支給の時期によって、扱いが変わることがあります

ボーナスが、申立ての前に支給されるのか、手続が始まったあとに支給されるのかによって、扱いが変わることがあります。

破産手続開始の決定があったあとに受け取る給料は、原則として、ご自身が自由に使えるお金として扱われます。ボーナスについても、手続が始まったあとに支給されるものは、同じように扱われることが多いのですが、支給の対象になっている期間や、支給額が決まった時期によっては、扱いが問題になることがあります。

ボーナスの支給が近い時期に申立てを考えていらっしゃる場合には、支給の予定日と、見込みの額を面談の際にお知らせください。勤務先の賞与の規程や、過去の支給の明細があれば、あわせてお持ちいただけますと、扱いの見通しを立てやすくなります。

まだ受け取っていない退職金の見込額は、ボーナスとは別の扱いになります

お勤め先に退職金の制度がある場合、まだ退職しておらず、退職金を受け取っていなくても、将来受け取る見込みのある退職金は財産の一つとして扱われ、申立ての際には、退職金の見込額が分かる書類を提出していただくことになります。

ただし、まだ受け取っていない退職金は、見込額の全額ではなく、その一部が財産として扱われる運用になっており、すでに受け取って手元にあるボーナスとは扱いが異なります。また、退職金の見込額の書類を勤務先に依頼する場合の注意点につきましては、自己破産は職場に知られる?に記載しております。

よくあるご質問

ボーナスをもらう前に申立てをしたほうがよいですか。

申立ての時期は、ボーナスの時期だけでなく、借入れの状況や、弁護士費用・予納金の準備の状況、書類の集まり具合などを踏まえて決めることになります。ボーナスの支給の予定がある場合には、面談の際にお知らせいただければ、そのことも含めて進め方をお話しします。

ボーナスで借入れの一部を返しておけば、自己破産をしなくて済みますか。

ボーナスで一部を返しても、残りの借入れの返済を続けていくことができない場合には、返した分が偏頗弁済として問題になってしまうおそれがあります。毎月の返済を続けていける収入がある場合には、任意整理で返済を続けられるかどうかも検討いたします。違いにつきましては、自己破産と任意整理はどちらを選ぶ?をご覧ください。

ボーナスで、壊れた家電の買い替えや車の修理をしてもよいですか。

生活に必要な範囲の買い替えや修理であれば、使い道としてご説明することができる場合が多いのですが、金額や内容によっては、手続の中で確認を受けることがあります。購入や修理をする前にご相談いただき、領収書やレシートを残しておいていただくと、申立ての際の説明がスムーズになります。

ボーナスが支給されないことになりました。費用の準備はどうすればよいですか。

ボーナスがあてにできない場合でも、毎月の給料の中から、弁護士費用や予納金を少しずつ積み立てていく方法があります。収入と資産が一定の基準以下の場合には、法テラスの立替制度をご利用いただくこともできます。家計の状況を伺ったうえで、準備の方法をご相談します。

自己破産の申立ての前に受け取ったボーナスは、手元に残っている分が、預金や現金として財産の扱いを受けますが、すべてが取り上げられるわけではありません。一部の債権者にだけ返済することは手続の中で問題になりますので、使い道に迷われたときは、使う前にご相談いただくことをおすすめします。

ボーナスの支給が近い時期に自己破産をお考えの方は、支給の予定日と見込みの額をお知らせいただいて、一度状況をお聞かせください。

なお、借金・債務整理のご相談は、弁護士会の規程により対面での面談が必要となります。そのため、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。初回のご相談は無料です。

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この記事を書いた人

弁護士/心理カウンセラー/夫婦カウンセラー

法律と心、両方の視点から問題に向き合い、「本当に納得できる解決」を大切にしています。
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