自己破産をすると転職先に知られる?調べられる手段と、就けない職種

ご相談者様の中には、自己破産を考えていらっしゃるけれども、いま転職活動をしている最中なので、そのことが転職先に知られてしまうのではないかとご心配になって、お問い合わせをためらってしまっていた、という方がいらっしゃいます。すでに内定が出ている状態でご相談にお越しになる方や、手続の途中で転職の話が出てきたという方からも、同じようなお話を伺います。
借金の整理と転職が重なってしまうと、どちらを先にすべきなのかも判断がつきにくくなってしまうと思います。
結論としてご心配のいらない部分と、正直に申し上げて注意が必要な部分の両方がありますので、順にお話しします。
なお、借金・債務整理のご相談は、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。
採用選考で、破産の事実を調べる手段は通常ありません
まず、転職先の会社が応募者の破産歴を調べる、という手段は通常ありません。
信用情報につきましては、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターといった信用情報機関が保有しております。もっとも、信用情報の取扱いは法律で細かく定められているものではなく、各機関の運用によるところが大きいため、確実にこうであると申し上げられることは多くありません。そのうえで申し上げますと、採用選考のために企業が応募者の信用情報を取得するという運用は、通常ございません。
官報につきましては、破産手続が開始されますと公告されますので、記録としては公になります。ただ、採用のご担当者が応募者一人ひとりについて官報を確認する、という運用は通常ございません。
前職への問い合わせ、いわゆるリファレンスチェックが行われることもありますが、そこで確認されるのは在籍期間や勤務状況であり、破産歴が出てくるものではありません。
したがって、転職先が自発的に調べて発覚する、という経路については、あまりご心配いただかなくて差し支えありません。
ただし、職種によっては就けない期間があります
ご心配いただく必要があるのは、むしろこちらのほうです。
破産手続開始の決定を受けますと、復権するまでの間、一定の職業や資格に就くことができなくなります。これは知られるかどうかという話ではなく、制度として就けないという話になりますので、転職先の職種によっては影響が出ます。
代表的なものとしては、次のような職種が挙げられます。
- 警備員
- 生命保険の募集人、損害保険の代理店
- 貸金業を営む方
- 宅地建物取引士
- 旅行業務取扱管理者
- 質屋、古物商
- 弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士などの士業
転職先がこれらに該当する場合には、手続を進める時期そのものを検討する必要が出てまいります。逆に、これらに当たらない一般的な職種であれば、破産を理由に採用が取り消されるということは通常ありません。
いずれの職種につきましても、制限は復権するまでの間のもので、その後は改めて就いていただけます。
なお、会社の取締役の方は、破産手続開始の決定を受けますと、会社との委任関係が終了しますので、いったん取締役を退任することになります。もっとも、破産は取締役になることができない理由とはされていませんので、復権を待たずに改めて選任される形をとることができます。
仕事を辞めてからご相談にお越しになる方が多いのですが
資格の制限がかかる職種にお勤めの方から、実際にご依頼をいただいたことがございます。
そういった方々に共通しておりますのが、ご自分で調べて制限のことを知り、仕事を辞めてからご相談にお越しになるという点です。制度としてはそのとおりなのですが、収入が途絶えた状態でご相談にいらっしゃることになりますので、正直なところ、もったいないと感じることが少なくありません。
申立ての時期は、ある程度調整することができます。お辞めになる前にご相談いただければ、いつ申し立てるのが無理のない形になるか、順番からご提案できます。
すでにお辞めになっている場合でも、もちろん手続は進められます。ただ、これから辞めようかとお考えの段階でしたら、その前に一度お話を伺えればと思います。
現在の勤務先に知られる場面は、別にあります
転職先ではなく、いまお勤めの会社については、知られる可能性のある場面がいくつかございます。
ひとつは、勤務先からの借入がある場合です。社内貸付や共済からの借入がありますと、その会社は債権者になりますので、当然お知らせすることになります。
もうひとつが、退職金です。勤続年数によっては退職金の見込額を疎明する必要がございます。
ただ、この点をご心配になる方が多いわりに、実際に会社へ証明書の発行をお願いすることになった方は、それほど多くありません。雇用条件通知書に退職金なしと明記されているケースが多く、その場合はその書類をお出しいただければ足ります。退職金の制度がある場合であっても、会社のパソコンからマイページなどで見込額を出力できる方が多いという印象です。
会社にお願いせざるを得ない場面がまったくないわけではありませんが、まずはお手元の雇用条件通知書と、社内のシステムで確認できるかどうかを見てみるところからになります。
現在の勤務先に知られる経路につきましては、自己破産は職場にバレる?会社に知られる経路と防ぐ方法に詳しく記載しております。
手続の途中で転職しても差し支えありません
破産の手続を進めている最中に転職してはいけない、というルールはございません。収入が増える方向の転職であれば、なおのこと問題になることはありません。
ただし、転職が決まりましたら、必ず担当の弁護士にお伝えください。
勤務先が変われば収入も変わりますので、裁判所に提出する家計の資料を作り直す必要が出てまいります。申立ての直前で変更が生じますと、資料をそろえ直すぶん時間がかかってしまうこともあります。
黙っていて後から判明するほうが、手続としてははるかに面倒になります。転職を考えている段階であっても、その旨をお話しいただければ、申立ての時期を含めて調整いたします。
免責が確定すれば、資格の制限は解除されます
資格の制限は、破産手続が開始されてから復権するまでの間のものです。
免責許可の決定が確定しますと復権いたしますので、その時点で制限は解除されます。永久に就けなくなる、というものではありません。
期間の目安としましては、ご依頼をいただいてから免責までで6か月ないし1年程度です。このうち時間を要するのは申立てまでの準備の部分で、管財事件になった場合であっても、開始決定から手続が終わるまでは2か月ないし3か月程度で終わることが一般的です。
よくあるご質問
自己破産と転職が重なってしまうと、どちらを先に進めるべきなのか、ご自身では判断がつきにくいと思います。
調べられて発覚するという心配は、ほとんどしていただかなくて結構です。気にかけていただきたいのは、転職先の職種に資格の制限がかからないか、という一点です。
転職先が決まっている段階でも、まだ探していらっしゃる段階でも構いませんので、まずは状況をお聞かせください。進める順番からご提案いたします。
なお、借金・債務整理のご相談は、弁護士会の規程により対面での面談が必要となります。そのため、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。初回のご相談は無料です。








