自己破産で給与振込口座は凍結される?受任通知の前に給料を守る方法

ご相談者様の中には、自己破産を考えていらっしゃるものの、給料が振り込まれる口座が借入れのある銀行にあって、弁護士に依頼したとたんに口座が止まってしまい、生活費が引き出せなくなってしまうのではないかと心配されて、ご相談をためらってしまっている方がいらっしゃいます。
自己破産をすることで、お持ちのすべての銀行口座が使えなくなるわけではありません。止まるのは、借入れのある銀行の口座で、給与の振込先がその銀行にある場合でも、弁護士から債権者に通知を送る前に振込先を変えておけば、給料が返済にあてられてしまうことは防ぐことができます。以下、口座が止まる仕組みと、事前に準備しておくこと、手続の中での口座の扱いをお話しします。
なお、借金・債務整理のご相談は、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。
凍結されるのは、借入れのある銀行の口座で、自己破産そのものですべての口座が止まるわけではありません
弁護士が自己破産のご依頼をお受けすると、債権者に対して、弁護士が代理人になったことと、今後の連絡は弁護士にしていただきたいことをお知らせする書面を送ります。この書面を受任通知といいます。
銀行のカードローンなど、銀行から直接の借入れがある場合には、その銀行にも受任通知が届きます。受任通知を受け取った銀行は、多くの場合、その方名義の口座からの出金を止める扱いをします。これが、いわゆる口座の凍結です。
一方で、借入れのない銀行の口座や、ゆうちょ銀行の口座でゆうちょ銀行からの借入れがないものは、受任通知の送り先ではないため、そのまま使い続けることができます。自己破産をしたことが、ほかの銀行に一斉に伝わって、すべての口座が止まるという仕組みはありません。
また、クレジットカード会社や消費者金融への受任通知によって、そのカードや借入れの引き落としは止まりますが、引き落とし口座そのものが凍結されるわけではありません。気をつけていただきたいのは、借入れをしている銀行に口座がある場合です。
借入れのある銀行に給料が入ると、預金が借入れの返済にあてられてしまうことがあります
銀行は、貸付けの契約の中で、返済が滞った場合などに、その方の預金と貸付金を差し引きできる定めを置いていることが多く、受任通知が届いたあと、口座に残っている預金が借入れの返済にあてられてしまうことがあります。差し引きをすることを、法律の言葉では相殺といいます。
給与の振込口座がその銀行にある場合、給料日に入った給料が引き出せなくなってしまったり、返済にあてられてしまったりして、その月の家賃や生活費が払えなくなってしまうおそれがあります。
自己破産の手続では、特定の債権者にだけ返済をすることは認められていないため、銀行への受任通知を止めたり、その銀行だけを手続から外したりすることはできません。そのため、受任通知が届く前に、給料の入り先のほうを変えておくことが必要になります。
受任通知の前に、給与の振込先を借入れのない銀行に変えておきます
給与の振込口座の変更につきましては、ご相談の段階で、受任通知を送る前にご案内しております。
受任通知を送るのは、弁護士費用の初回のお支払いのあと(法テラスの立替制度をご利用の場合はご契約の時点)です。それまでの間に、借入れのない銀行で新しい口座をお作りいただき、勤務先に給与の振込先の変更を届け出ていただきます。
勤務先には、振込先の口座を変更したい旨をお伝えいただければ足り、変更の理由として自己破産のことをお話しいただく必要はありません。勤務先によっては、締め日の関係で、届け出た月の給料からではなく、翌月以降の給料から切り替わることがありますので、届出の時期を勤務先の担当の方に確認しておいていただくとスムーズです。
勤務先からの給料だけでなく、児童手当や年金など、借入れのある銀行に振り込まれているお金があれば、同じように振込先の変更をご検討いただくことになります。
なお、借入れのある銀行から預金を引き出して移した場合でも、そのお金はご相談者様の財産として扱われますので、申立ての際には財産として記載していただきます。口座を移すことは、財産を隠すことではありません。
早めにご相談いただくのは、給料の差押えが始まってからでは止めにくいためです
ご依頼の前に、すでに債権者から給料の差押えを受けてしまっていた方もいらっしゃいました。給料の差押えは、破産の申立てをして、裁判所の決定が出るまで止まらないため、その間も給料の一部が差し押さえられ続けてしまい、管財事件の費用の積み立てがなかなか進まず、大変でした。
給料の差押えは、債権者が裁判を起こし、判決などを得たうえで行われるもので、受任通知を送っても、それだけで止まるものではありません。差押えが始まる前にご相談いただければ、口座の変更を含めて、手続の段取りを組み立てやすくなります。督促状や裁判所からの書類が届いている場合には、早めにお知らせいただければと思います。
公共料金や家賃の引き落とし口座も、新しい口座に移しておきます
借入れのある銀行の口座から、電気・ガス・水道などの公共料金や、携帯電話の料金、家賃、保険料などが引き落とされている場合、口座が凍結されると、それらの引き落としもできなくなってしまいます。
引き落としができないまま期日が過ぎてしまいますと、延滞の扱いになったり、督促が届いたりして、生活に支障が出てしまうおそれがありますので、給与の振込先と合わせて、引き落とし口座も新しい口座に変更しておいていただくと安心です。
引き落とし口座の変更は、届出から実際に切り替わるまでに時間がかかることが多いため、どの支払いがどの口座から引き落とされているかを通帳で確認し、早めに手続を始めていただくことをおすすめしております。
家賃を滞納している場合の扱いにつきましては、自己破産と滞納家賃に記載しております。
凍結は、保証会社による代位弁済のあとに解除されることが通常です
銀行のカードローンなどには、多くの場合、保証会社がついています。受任通知を受け取った銀行は、保証会社に残りの借入れを支払ってもらい(これを代位弁済といいます)、その後は、保証会社が債権者として手続に加わることになります。
代位弁済によって銀行の貸付金がなくなると、口座の凍結は解除されることが通常で、相殺されずに残った預金があれば、引き出すことができるようになります。代位弁済までにかかる期間は銀行によって異なります。
凍結が解除されたあと、その口座を引き続き使うことはできますが、同じ銀行で新しく借入れをしたり、カードを作ったりすることは、しばらくの間難しくなります。
管財事件になった場合は、通帳の写しを提出して口座の内容を確認されます
自己破産の手続には、財産や借入れの経緯を調べる破産管財人が裁判所から選ばれる管財事件と、管財人が選ばれずに手続が終わる同時廃止の二つがあります。
管財事件になった場合でも、日常の生活に使っている口座が使えなくなるということはありません。申立ての際には、お持ちのすべての口座の通帳の写しを提出し、管財人から、入出金の内容について確認を受けることになります。新しく作った口座も、申立ての時点でお持ちの口座として提出していただきます。
破産手続が始まったあとに入る給料は、原則としてご相談者様が自由に使えるお金として扱われます。また、預金がある場合でも、一定の額までは手元に残すことができる扱いになっております。
管財事件になった場合には、弁護士費用とは別に、裁判所に納める引継予納金が必要になり、東京地方裁判所では原則として20万円です。このほかに、官報公告費用などの実費として、およそ2万円がかかります。費用の準備の方法につきましては、自己破産の費用は、全額用意できていなくても依頼できる?に記載しております。
よくあるご質問
自己破産をしても、すべての銀行口座が使えなくなるわけではなく、凍結されるのは借入れのある銀行の口座です。給与の振込先や引き落とし口座がその銀行にある場合でも、受任通知を送る前に新しい口座に移しておけば、給料が返済にあてられてしまうことを防ぎ、生活費を確保したまま手続を進めることができます。
口座の変更には、勤務先や引き落とし先での手続の時間がかかります。給料の差押えが始まる前に、一度状況をお聞かせください。
なお、借金・債務整理のご相談は、弁護士会の規程により対面での面談が必要となります。そのため、東京23区にお住まいの方、または東京23区にお勤めの方を対象とさせていただいております。初回のご相談は無料です。








