交通事故で車の価値が下がったら?評価損(格落ち損)が認められる場合

ご相談者様の中には、交通事故で車をぶつけられてしまい、修理を終えて見た目は元に戻ったものの、事故車として扱われることで車の価値が下がってしまったのではないかと気になっていらっしゃる方や、相手方の保険会社に下がった分の価値を請求したいとお伝えしたところ、修理費のほかはお支払いできませんと言われてしまった、という方がいらっしゃいます。

修理をしても元に戻らない車の価値の下落は、「評価損(格落ち損)」として、損害賠償の対象になることがあります。もっとも、評価損はどの車でも認められるものではなく、車の年数や損傷を受けた部分、そして車の所有者がどなたになっているかによって、請求できるかどうかが分かれます。

以下、評価損が認められやすい場合と、ローンで購入した車についての注意点、保険会社の示談の段階での扱い、請求の際に用意する資料についてお話しします。

目次

評価損は、修理をしても元に戻らない車の価値の下落に対する賠償です

交通事故で車が壊れた場合の賠償は、修理費が中心になりますが、修理によって外観や機能が元どおりになったとしても、事故で修理をした車であるということ自体によって、中古車として売却するときの価格が下がってしまうことがあります。この下がった分の価値を、評価損または格落ち損と呼んでいます。

評価損には、修理をしても外観や機能に不具合が残ってしまった場合のものと、外観や機能には問題がなくても、事故の修理歴があることで取引の価格が下がってしまう場合のものがあります。ご相談で多いのは後者で、特に車の骨格(フレーム)にあたる部分を修理した車は、中古車として売りに出すときに、一般に修復歴のある車として扱われることになります。

修理をすれば元どおりになるので、価値が下がった分は請求できない、とお考えになっている方もいらっしゃいますが、修理費とは別に評価損が認められることはあります。ただし、次にお話しする条件にあてはまるかどうかで、見通しは大きく変わります。

評価損が認められやすいのは、新しい車で、骨格(フレーム)にまで損傷が及んでいる場合です

評価損が認められるかどうかは、車種、初度登録からの期間、走行距離、損傷を受けた部分とその程度、修理の内容などをもとに判断されます。高級車や外国車のほうが認められやすい傾向はありますが、国産車であるからといって、それだけで認められないということではありません。

当事務所でお受けした事案でも、国産車で、新車で購入してから3年以内であり、損傷が車の骨格にまで及んでいて、ご本人が車の所有者であった場合に、評価損が認められた例がございます。

一方で、初度登録から年数がたっている車や、走行距離が多い車、バンパーの交換など骨格に及ばない部分の修理にとどまっている場合には、評価損は認められにくい傾向があります。

ローンで購入した車は、車検証の所有者がローン会社や販売店になっているため、評価損は認められません

評価損について最初に確認していただきたいのは、車検証の所有者の欄に、どなたのお名前が記載されているかということです。

評価損は、車の所有者の財産としての価値が下がったことに対する賠償ですので、請求することができるのは車の所有者です。ローンで車を購入された場合、ローンを払い終えるまでは、車検証の所有者の欄はローン会社や販売店になっていて、ご本人は使用者として記載されていることが多く、この場合には、ご本人がローンを支払っていて、毎日その車を使っていらっしゃるとしても、そもそも評価損は認められません。

車検証の所有者の欄は、ご自身の車の車検証でご確認いただけます。電子車検証の場合には、車検証と一緒に交付される「自動車検査証記録事項」に所有者が記載されています。

評価損の請求を検討される場合には、保険会社と交渉を始める前に、まず所有者の欄をご確認いただけますと、その後の見通しを立てやすくなります。

評価損の金額は、修理費や車の価格などをもとに、事案ごとに判断されます

評価損が認められる場合の金額は、裁判例では修理費をもとにして算定されることが多いものの、どの程度の額になるかは、車種や年数、損傷の程度などによって事案ごとに異なり、一律の基準があるわけではありません。

金額の判断にあたっては、修理費の額のほか、車の購入時の価格や初度登録からの期間、修理をした部分が骨格にあたるかどうか、修理のあとに外観や機能に不具合が残っているかどうかといった事情が考慮されます。同じ程度の修理費であっても、車の年数や修理の内容によって、評価損が認められるかどうかや金額は変わってまいります。

そのため、ご相談の際には、車検証と修理の見積書や明細を拝見したうえで、評価損が認められる見込みがあるかどうかと、請求する場合の進め方をお伝えしております。

保険会社は示談の段階では、社内の基準にあてはまるかどうかで評価損を判断しています

弁護士小林は、かつて保険会社の代理人として加害者側を担当しておりました。その経験から申し上げますと、保険会社の側には、裁判の基準とは別に、評価損について初度登録からの年数や走行距離などによるある程度の社内の基準があり、示談の段階では、その基準にあてはまるかどうかで、評価損を支払うかどうかを判断しています。

そのため、社内の基準にあてはまらない車ですと、示談の段階では「評価損はお支払いできません」という回答になることが多くなります。ただ、これは保険会社の社内での取扱いであって、裁判で評価損が認められるかどうかとは別の問題です。

示談の段階で評価損を認めてもらえない場合には、交通事故紛争処理センターなどのADR(裁判外の紛争解決機関)や訴訟で、評価損の請求を判断してもらう方法があります。弁護士にご依頼いただいた場合には、車の年数や損傷の内容、修理の明細などの資料をもとに、社内の基準ではなく、裁判になった場合にどのように判断されるかという観点から、評価損の請求を組み立てて交渉することになります。

保険会社の対応が変わる場面につきましては、保険会社の対応に納得できないときに記載しております。

評価損を請求するときは、修理の明細と事故減価額証明書を用意します

評価損を請求するときには、次のような資料を用意します。最初の車検証は、評価損を請求できるかどうかそのものに関わりますので、最も先にご確認いただきたい資料です。

  • 車検証(所有者の欄。電子車検証の場合は自動車検査証記録事項)
  • 修理の見積書と修理の明細(どの部分を修理・交換したか、骨格にあたる部分が含まれているか)
  • 損傷を受けた部分の写真
  • 車を購入したときの書類(購入の時期や価格が分かるもの)

修理の見積書や明細は、修理工場に依頼すれば写しをもらうことができますので、修理が終わったあとも保管しておいていただくと、評価損の請求の際に役立ちます。

なお、物損の損害賠償の請求権は、事故の日から3年で時効にかかります。評価損の請求で交渉が長引いている場合でも時効は進みますので、時効の期間につきましては、交通事故の時効は物損3年・人損5年もあわせてご覧ください。

評価損とあわせて、代車費用の扱いも確認しておくと安心です

車が修理に入っている間に代車を使っていらっしゃる場合には、代車費用がどこまで認められるかも、評価損とあわせて確認しておくと安心です。代車費用は、修理に必要な期間と、元の車と同じ程度の車種の範囲で認められるもので、示談がまとまるまで使い続けられるものではありません。代車費用につきましては、交通事故の代車費用はどこまで請求できる?に記載しております。

また、修理費が車の時価額を上回る「全損」とされた場合には、評価損ではなく、車の時価額をもとにした賠償になります。全損と言われた場合の対応につきましては、交通事故で全損と言われても諦めないをご覧ください。

よくあるご質問

国産の一般的な車でも、評価損を請求できますか。

国産車であることだけを理由に、評価損が認められないということはありません。新車で購入してから年数が浅く、損傷が骨格にまで及んでいて、ご本人が車の所有者である場合には、国産車でも評価損が認められた例がございます。

ローンはすでに払い終えています。評価損を請求できますか。

ローンを払い終えて、車検証の所有者の欄がご本人に変わっていれば、所有者として評価損を請求することができます。払い終えていても、所有者の名義の変更の手続がまだの場合には、車検証の記載がローン会社や販売店のままになっていることがありますので、事故の時点の車検証の記載をご確認ください。

保険会社から「評価損は認められません」と言われました。あきらめるしかありませんか。

保険会社は、示談の段階では社内の基準にあてはまるかどうかで判断していますので、その回答は、裁判で評価損が認められるかどうかとは別のものです。車の年数や損傷の内容を伺ったうえで、紛争処理センターや訴訟で請求する見込みがあるかどうかをお伝えいたします。

物損だけの事故でも、弁護士費用特約は使えますか。

ご加入の保険の内容によりますが、弁護士費用特約は、物損だけの事故でも使える場合が多くあります。特約の使い方につきましては、弁護士費用特約とはをご覧ください。

評価損は、修理をしても元に戻らない車の価値の下落に対する賠償で、新しい車で、骨格にまで損傷が及んでいる場合に認められやすい一方、ローンで購入して車検証の所有者がローン会社や販売店になっている場合には、そもそも認められません。保険会社は、示談の段階では社内の基準にあてはまるかどうかで判断していますので、断られたとしても、それで結論が決まるわけではありません。

修理の見積書と車検証をお手元にご用意いただければ、評価損を請求できる見込みがあるかどうかをお伝えすることができますので、示談に応じる前に、一度状況をお聞かせください。交通事故のご相談は、お住まいの地域にかかわらずお受けしております。初回のご相談は無料です。

お問い合わせ・ご相談はこちら

03-6206-6168

受付時間: 平日 10:00~19:00

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この記事を書いた人

弁護士/心理カウンセラー/夫婦カウンセラー

法律と心、両方の視点から問題に向き合い、「本当に納得できる解決」を大切にしています。
男女問題・借金問題・交通事故など、心の負担が大きいトラブルや人間関係のお悩みに強みがあります。法律実務歴10年以上。安心してご相談ください。

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