不倫の慰謝料、途中で相手が弁護士を立てたら|電話でその場で約束しない

ご相談者様の中には、不倫の慰謝料について、交際相手の配偶者の方とLINEや電話で直接やり取りをしていたところ、ある日、その方が依頼した弁護士から連絡が来てしまって、これからどう対応すればよいのか分からなくなってしまった、という方がいらっしゃいます。弁護士が出てきた以上、もう言われた額を払うしかないのではないかと思い詰めてしまって、電話口で求められるままに返事をしてしまいそうになっている方も少なくありません。
相手が弁護士を立てたからといって、請求された額をそのまま支払わなければならないということにはなりません。ただ、相手の弁護士とのやり取りは、ご本人どうしのやり取りとは性質が違い、電話でお話しした内容や、それまでに送ったLINE、お渡しした念書などが、そのまま交渉の材料として使われることになります。
以下、直接やり取りをしていた途中で相手が弁護士を立てた場面に絞って、相手の弁護士から連絡が来たときの受け答えと、手元で確認しておきたいもの、こちらも弁護士を立てるかどうかの考え方についてお話しします。内容証明郵便で初めて請求が届いた場合の一般的な対応につきましては、不倫の内容証明が届いた!対応方法と反論のポイントに記載しております。
相手の弁護士から電話が来ても、その場で支払いを約束する必要はありません
相手が弁護士を立てると、その弁護士から、依頼を受けたことを知らせる書面が届いたり、電話がかかってきたりします。電話では、「いくらであればお支払いいただけますか」「分割であれば応じていただけますか」といったように、具体的な金額や支払い方を尋ねられることがあります。
このとき、その場で金額や支払いを約束する必要はありません。「内容を検討して、改めてお返事します」とお伝えして、いったん電話を終えていただいて問題ありません。電話で即答しなかったことを理由に、こちらが不利に扱われるということはありません。
相手の弁護士は、電話でのやり取りの内容を記録に残していることが多く、録音されていることもあります。ご本人どうしの会話であれば、気持ちの行き違いとして後から言い直すこともできたかもしれませんが、相手の弁護士に対して「払います」「この金額でよいです」と伝えた言葉は、支払いを約束したものとして扱われてしまうおそれがあります。
当事務所にご相談に来られた方の中に、相手の弁護士とご本人が先に直接交渉をされて、うまく進まなかったためにご相談にいらっしゃった方がいました。ご依頼を受けて介入したところ、ご本人が相手の弁護士に対して支払いの約束をしていたことが録音されていて、金額について交渉する余地が残っていなかった、ということがありました。
いったん約束をしてしまうと、そのあとで弁護士に依頼しても、約束より前の状態に戻すことは難しくなります。相手の弁護士から電話が来たときには、聞かれたことに答えるよりも、まず電話の日時と、相手の弁護士の名前、言われた内容をメモしておいていただくことをおすすめします。
相手が弁護士を立てたあとは、相手ご本人ではなく、弁護士とやり取りをすることになります
相手の弁護士から届く書面には、多くの場合、今後の連絡は弁護士あてにしてほしい、という趣旨のことが書かれています。それまで交際相手の配偶者の方と直接やり取りをしていた場合でも、そのあとは、相手ご本人にLINEや電話で連絡することはやめて、弁護士とのやり取りに切り替えることになります。
ご相談者様の中には、相手ご本人に直接謝れば分かってもらえるのではないか、とお考えになる方もいらっしゃいます。ただ、弁護士を立てたあとにご本人へ連絡を続けてしまうと、こちらの意図とは別に、相手の方を困らせる行為として受け取られてしまうことがあり、送ったメッセージも交渉の材料として弁護士の手元に渡ることになります。
また、交際相手の方と連絡を取り合って、相手の弁護士への答え方を相談したくなることもあると思いますが、相手の方から見ると、関係が続いているように受け取られてしまうおそれがあります。交際相手の方との連絡をどうするかも、あわせて考えておく必要があります。
これまでのLINEやメモ、お渡しした書面を、手元で確認しておきます
相手の弁護士は、それまでにご本人どうしで交わしたやり取りを、相手の方から受け取ったうえで連絡してきています。こちらが何を書いて、何を約束したのかを把握しないまま答えてしまうと、相手の手元にある記録と食い違って、説明が苦しくなってしまうことがあります。
確認しておきたいのは、次のようなものです。
- 交際相手の配偶者の方との間で交わしたLINEやメール、ショートメッセージ
- 電話や直接会ったときに話した内容のメモ(日時と、言われたこと・こちらが答えたこと)
- お渡しした念書、謝罪文、支払いの約束を書いた書面の控えや写真
- 交際相手の方との間のやり取り(相手の方が証拠として持っている可能性があるもの)
請求を受けている最中は、やり取りを見返すのもつらく、消してしまいたいというお気持ちになる方もいらっしゃいます。ただ、こちらの手元から消してしまっても、相手の手元には残っていますので、まずは消さずに保存しておいていただくほうがよいと思います。LINEのやり取りが証拠としてどのように扱われるかにつきましては、LINE証拠だけで不貞慰謝料を請求できる?に記載しております。
支払いを約束する念書やLINEを送ってしまっている場合は、その内容を正確に把握します
直接やり取りをしている段階で書いてしまって、あとから不利に働くことが多いのは、支払いを約束する念書や、「払います」「分割で払わせてください」といったLINEです。
こうした書面やメッセージは、不貞の事実を認めたものとして扱われるほか、金額や支払い方まで書かれている場合には、その内容で支払いを約束したものとして、相手の弁護士から示されることがあります。
もっとも、念書やLINEがあるからといって、それだけで交渉が終わるとは限りません。金額が書かれているのか、書かれているとしてどのような経緯で書いたのか、支払いの時期や方法まで決まっているのかによって、その後の進め方は変わります。そのため、念書やLINEを送ってしまっている場合には、何を、いつ、どのような言葉で書いたのかを、できるだけ正確に把握しておくことが出発点になります。
弁護士にご相談いただく際も、不利になりそうな書面やメッセージほど、隠さずにお見せいただくことをおすすめします。相手の弁護士がそれを持っていることを前提に組み立てないと、交渉の途中で示されたときに、それまでの主張が崩れてしまうためです。
相手の弁護士は相手の方の代理人で、こちらの相談に乗ることはできません
相手の弁護士は、言葉づかいも丁寧で、手続の流れを説明してくれることもあるため、ご相談者様の中には、相手の弁護士に「どうすればよいでしょうか」と尋ねてしまう方もいらっしゃいます。
ただ、相手の弁護士は、請求している側の方から依頼を受けた代理人で、その方の利益のために動いています。こちらの立場に立って助言をすることはできず、「裁判になればもっと高くなります」「この金額が相場です」といった説明も、請求している側の立場からの説明として受け止めておく必要があります。
不倫の慰謝料の額は、婚姻期間や交際の期間、不倫が原因で離婚に至ったかどうかなど、個々の事情によって変わり、弁護士が示した額がそのまま認められると決まっているものではありません。慰謝料の額の考え方につきましては、不貞慰謝料の相場はいくら?をご覧ください。
回答の期限が示されたら、期限までに、こちらも弁護士を立てるかどうかを決めます
相手の弁護士からの書面には、多くの場合、回答の期限が書かれています。期限までに何も返事をしないでいると、話し合いの機会がないまま、訴訟を起こされることもあります。
ご本人で対応される場合には、電話でその場で答えるのではなく、書面やメールで回答するようにしておくと、考える時間を確保することができ、何を伝えたのかも記録に残ります。
こちらも弁護士を立てた場合の最も大きな違いは、ご本人が相手の弁護士と直接連絡を取らなくてよくなることです。相手の弁護士からの電話や書面は、こちらの弁護士あてに届くようになり、その場で答えを求められることもなくなります。これまでのやり取りの中に不利な念書やLINEがある場合でも、その内容を踏まえたうえで、どこまでを認めて、どこを争うのかを整理して回答することができます。
弁護士を立てるかどうかは、請求された額や、これまでのやり取りの内容、ご本人が相手の弁護士とのやり取りを続けることの負担を考えて決めることになります。期限が迫っている場合でも、期限を少し延ばしてもらえないか相手の弁護士に伝えることはできますので、期限が近いからといって、内容を確かめないまま返事をしてしまわないようにしておくと安心です。
よくあるご質問
直接やり取りをしていた途中で相手が弁護士を立てた場合でも、請求された額をそのまま支払わなければならないわけではありません。ただ、相手の弁護士とのやり取りは記録に残り、電話で伝えた言葉や、それまでに送った念書やLINEが、そのまま交渉の材料として使われます。相手の弁護士から電話が来ても、その場で約束はせず、これまでのやり取りを確認してから回答することが出発点になります。
相手の弁護士からの連絡にどう答えればよいか分からないまま、回答の期限が迫っている方は、約束をしてしまう前に、一度状況をお聞かせください。初回のご相談は無料です。








