弁護士に依頼する際の注意点
弁護士に依頼する際の注意点

家族が集団で交通事故に遭ってしまったら?弁護士に依頼する際の注意点

家族でドライブ中に交通事故に巻き込まれてしまった場合、複数の家族が同時にケガをしてしまうことも考えられます。

交通事故の被害者は、加害者に対して損害賠償を請求することが可能です。


家族が集団で交通事故に巻き込まれてしまった場合も、被害者それぞれが加害者に損害賠償を請求できます。
弁護士にご相談のうえで、漏れのないように請求を行ってください。

この記事では、家族が集団で交通事故に遭ってしまったケースにおいて、弁護士に依頼する際の注意点などを解説します。

1 家族が集団で交通事故に遭った場合の留意事項

家族でのドライブ中に交通事故に遭ってしまった場合、家族の中から複数の被害者が発生します。

この場合、被害者である家族それぞれが、加害者に対して損害賠償請求を行うことになりますが、その際の留意事項は以下のとおりです。

1-1. 事故状況の資料は共通して利用可能

被害者が複数存在するとはいえ、同じ交通事故による被害ですので、事故に関する資料は共通して利用できます。

特に、被害者・加害者間の過失割合については、事故の客観的な状況から認定されるため、すべての被害者について同じになることを覚えておきましょう。

なお、ケガの程度や治療経過などは被害者ごとに異なるため、個々に資料を準備する必要があります。

1-2. 示談交渉開始のタイミングはそれぞれ異なる

交通事故の示談交渉は、ケガの治療が終了(治癒または症状固定※)した段階で開始するのが一般的です。

治癒:医師により、ケガが完治した旨の診断が行われることをいいます。
症状固定:医師により、これ以上治療をしても効果が見込めない旨の診断が行われることをいいます。症状固定時点で残存した症状は、「後遺障害」として等級認定の対象となります。

治療終了の時期は被害者ごとに異なるので、示談交渉についても、治療が終了した被害者から順次開始することになります。

2 家族ドライブ中の交通事故被害を弁護士に相談する際の注意点

家族が一斉に交通事故の被害に遭った場合、被害者の方全員が同じ弁護士に依頼し、足並みを揃えて対応することをお勧めいたします。
また、示談交渉の段取りを整理するためにも、できるだけ早い段階で弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。

2-1. 家族全員が同じ弁護士に相談すべき

また、家族全員が同じ弁護士に依頼すれば、示談交渉の際に、被害者全員に共通する事情(過失割合など)を先に合意したうえで話し合いを進めることができます。
その結果、早期に示談がまとまる可能性も高まるでしょう。

2-2. 早めに弁護士へ相談することが大切

複数の家族が同時に交通事故の被害に遭った場合、将来的に示談交渉が複数発生するため、家族全体で煩雑な対応を求められます。

早い段階で弁護士にご相談いただければ、治療経過などを見ながら示談交渉の段取りを整理できるので、全体的な見通しが立ってご安心いただけるかと思います。

また、加害者側の保険会社から、治療費打ち切りなどを個別に求められるケースもあるところ、早期に弁護士へご相談いただくことで、保険会社の要求を不本意に受け入れてしまうこともなくなります。

3 ご家族で交通事故をご依頼いただく際の流れ

複数名のご家族が交通事故の損害賠償請求を同時にご依頼いただく際の流れは、大まかに以下のとおりです。

3-1. 法律相談のご利用

まずは初回相談をお申込みいただき、事故の状況や治療経過などについてヒアリングを行います。
その際、手続きの基本的な流れについても丁寧にご説明いたしますので、何から手を付けてよいかわからないという方も、安心してご相談いただけます。

初回の法律相談では、損害賠償請求(示談交渉・訴訟)の金額・時期の見通しや、弁護士費用の仕組み・金額など明確にお伝えいたしますので、その内容を踏まえて、正式なご依頼の可否をご検討ください。

3-2. 委任契約書の締結

正式にご依頼いただける場合、弁護士との間で委任契約書を締結していただきます。

複数名のご家族がご依頼いただく場合、原則として、依頼者となる方全員の調印が必要です。
ただし、委任状をご提示があれば、ご家族のうち一名が代理人としてご調印いただくこともできます。

3-3. 依頼者様全員(または代表者の方)とご相談のうえで対応

委任契約書の締結後は、各被害者の方の治療が終了するのを待って、加害者側との示談交渉を開始します。
損害賠償請求に当たって必要となる資料の収集などについても、弁護士が適宜アドバイスいたしますので、ご安心ください。

なお、示談交渉の進め方については、原則として、依頼者様全員とご相談のうえで決定いたします。
ただし、被害者の方が多数の場合や、依頼者様が特にご希望される場合には、代表者の方が依頼者様全員のご意見を取りまとめたうえで、弁護士にお伝えいただくことも可能です。

4 弁護士費用特約は、加入者の家族も利用できる?

4-1. 弁護士費用特約を利用できる可能性が高い家族は?

弁護士費用特約は、運転者に加えて、その家族も利用できるケースが多くなっています。
一般的に、弁護士費用特約を利用できる可能性が高い家族等の範囲は、以下のとおりです。

①被保険者本人
②配偶者
③同居の親族(父母、兄弟姉妹、子など)
④別居かつ未婚の子
⑤契約車に同乗していた者
⑥契約車の所有者

実際の補償範囲は特約の内容によって異なるので、保険契約の条項をご確認ください。

4-2. 事故の内容によっては、弁護士費用特約が利用できないので注意

天災地変による事故の場合や、被害者側に故意または重大な過失が存在する場合には、弁護士費用特約を利用できない可能性があります。

<弁護士費用特約を利用できない場合の例>
・無免許運転中の事故
・酒気帯び運転、酒酔い運転中の事故
・麻薬使用中の運転中の事故
・地震、台風、津波などによる事故
・同居の親族や配偶者などが相手方となる事故
・被害者に故意または重大な過失がある事故

弁護士へのご依頼前に、保険会社に対して事故の状況を説明し、弁護士費用特約を利用できるかどうか確認しておくとよいでしょう。

5 まとめ

家族でのドライブ中に交通事故に巻き込まれてしまった場合には、ケガを負った家族の方全員で、同時に弁護士へご依頼いただくのが便利です。

家族のうち複数の方が被害者となった場合には、治療経過などに応じて示談交渉を順次行う必要があります。
弁護士にご依頼いただければ、各被害者の方の治療状況を統一的に把握しながら、ご家族全体として、早期に適正な補償を受けていただけるようにサポートいたします。

もし弁護士費用特約をご利用できる場合には、家族全体での費用負担も最小限に抑えられます。
ご家族で交通事故の被害に遭ってしまった方は、できるだけ早い段階で、一度ご相談ください。

弁護士 小林 聖詞

弁護士 小林 聖詞

東京弁護士会所属。