後遺障害11級|慰謝料420万円・全10号の症状一覧と逸失利益を解説

保険会社から後遺障害11級が認定されたと連絡を受けたものの、「脊柱の圧迫骨折で11級が出たけど慰謝料はいくら?」「12級や10級との違いは?」「保険会社の提示金額が想像より低い」──こんな疑問を抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。

後遺障害11級の慰謝料は、自賠責基準では136万円とされ、弁護士基準では420万円とされています。両者には約3.1倍の差があり、これに労働能力喪失率20%による逸失利益が加算されることで、総額数千万円規模になることも見られます。

この記事では、元保険会社側代理人弁護士として保険会社の評価実務を内側から知る弁護士が、11級1号〜10号の認定基準・慰謝料の3基準比較・逸失利益の計算方法を、ご相談者目線で解説します。

目次

後遺障害11級とは|中等度の後遺障害

後遺障害等級は、自動車損害賠償保障法施行令の別表第二(介護を要しない後遺障害)で1級から14級まで定められています。11級はその中で中等度に位置する等級で、12級の1段階上、10級の1段階下です。眼球の機能障害・歯科補綴(10歯以上)・聴力障害・脊柱変形・手指喪失・足指機能障害・胸腹部臓器障害などが対象です。


後遺障害11級の症状一覧|1号〜10号の認定基準

別表第二の11級は1号から10号まであります。各号の認定基準は以下の通りです。

号数認定基準(条文)
11級1号両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
11級2号両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
11級3号1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
11級4号10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
11級5号両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
11級6号1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
11級7号脊柱に変形を残すもの(圧迫骨折等で多く認定される類型)
11級8号1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
11級9号1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
11級10号胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

このうち、交通事故で比較的多く認定されるのは11級7号「脊柱に変形を残すもの」です。脊椎の圧迫骨折や脱臼骨折が治癒しても椎体に変形が残った場合に該当します。


後遺障害11級の慰謝料|弁護士基準420万円と自賠責基準136万円の差

後遺障害11級の慰謝料は、使用する基準によって金額が大きく異なります。自賠責基準136万円と弁護士基準420万円の差は約3.1倍です。

基準後遺障害慰謝料(11級)特徴
自賠責基準136万円法律で定められた最低限の補償
任意保険基準150万円程度(各社非公開)保険会社が示談提示で使う社内基準
弁護士(裁判)基準420万円裁判所が採用する基準(「赤い本」記載)

なお、自賠責保険からの11級の支払い上限は331万円です。これは後遺障害慰謝料136万円と逸失利益を合算した枠内の上限額です。


後遺障害11級の逸失利益|労働能力喪失率20%・原則67歳までの計算

後遺障害が認定されると、慰謝料とは別に「逸失利益」が請求できます。計算式は以下の通りです。

逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数

労働能力喪失率は等級ごとに定められており、後遺障害11級は20%です。労働能力喪失期間は、原則として「症状固定時から67歳まで」とされます。11級は1〜10号いずれも原則通り67歳までで計算されるのが一般的です。

脊柱変形(11級7号)の逸失利益の留意点

11級7号(脊柱に変形を残すもの)の場合、保険会社側から「変形のみで労働能力に直接影響しない」として逸失利益を認め内、あるいは減額を主張されることがあります。実際には、脊柱変形に伴う神経症状や荷重制限がある場合は逸失利益を主張する余地があり、職種による具体的な支障の説明も含めて争点になります。

保険会社が最初に提示する金額には、逸失利益の項目自体も無いことがあります。交通事故の被害に遭われた方が、痛みをおして生活していて、余裕がないにもかかわらず、相手保険会社の項目に無い点を気づく、というのはかなり困難です。 そのため、相手保険会社から提示があった場合には、すぐに弁護士に内容を確認してもらうことをお勧めします。

計算例|年収500万円のケース

症状固定時の年齢就労可能年数計算式逸失利益
30歳37年500万円 × 20% × 22.1672約2,217万円
40歳27年500万円 × 20% × 18.3270約1,833万円
50歳17年500万円 × 20% × 13.1661約1,317万円

同じ11級でも、症状固定時の年齢によって逸失利益は大きく変わります。ご自身のケースに当てはめた具体的な計算は、弁護士にご相談ください。


11級と12級・10級の違い

等級慰謝料(弁護士基準)労働能力喪失率典型的な症状
12級290万円14%むちうち(他覚所見あり)・関節機能障害(軽度)・歯科補綴7歯以上など
11級420万円20%脊柱変形・歯科補綴10歯以上・眼球調節障害・手指喪失(おや指以外)など
10級550万円27%視力0.1以下・複視・関節機能著しい障害・下肢短縮3cm以上など

歯科補綴で例えると、7歯以上で12級3号、10歯以上で11級4号、14歯以上で10級4号と、補綴本数で等級が分かれます。脊柱については、11級7号の「変形」、8級2号の「運動障害」、6級5号の「著しい変形又は運動障害」と症状の重さで階段状に等級が変わります。


11級7号(脊柱変形)が認定されるケース

11級7号「脊柱に変形を残すもの」は、交通事故で多く認定される類型です。具体的には以下のような状態が該当します。

  • 脊椎圧迫骨折で椎体の前方が潰れて変形が残った状態
  • 脊椎の脱臼骨折治癒後に椎体に変形が残った状態
  • 脊椎を固定する手術(後方固定術等)を受けた状態

認定にはレントゲン・CT・MRI等の画像所見で椎体の変形が確認できることが必要です。事故直後と症状固定時の画像を比較できるよう、医療機関に画像データの保存を依頼しておくことが重要です。


11級認定のために被害者ができること

  • 症状に応じた専門医の検査:脊柱は整形外科、歯科は歯科医院、聴力は耳鼻科など、適切な専門医の検査結果を残す
  • 事故直後の画像保存を依頼:レントゲン・CT・MRIの画像データを残しておくことで、変形の経時変化を示せる
  • 後遺障害診断書の記載は弁護士と確認:認定基準に沿った記載になっているか確認する
  • 11級と12級の境界を意識:歯科補綴本数(10本以上か7本以上か)など認定基準の閾値を意識

11級が非該当・12級にとどまった場合の異議申立て

後遺障害申請の結果が「非該当」だった場合や、「12級にとどまった」場合でも、異議申立てが可能です。新たな医証(追加の画像所見・医師の意見書など)を添えて再審査を求めることで、11級への等級変更が認められるケースもあります。


弁護士費用特約と弁護士依頼のメリット

「弁護士に頼むとお金がかかるのでは」と心配される方は多いですが、弁護士費用特約を使えば弁護士費用を自分の保険会社が負担してくれます。後遺障害11級は中等度の等級で賠償総額が大きいため、弁護士基準で交渉することで増額幅も大きく、弁護士費用を差し引いても手取りが増えるケースが多く見られます。

  • 自動車保険に付帯していることが多い
  • 上限額は一般的に300万円
  • 特約を使っても、一般的には保険の等級は下がらないとされています(保険会社により取扱いが異なる場合があるため、ご加入の保険会社にご確認ください)
  • 家族の保険に付いている特約が使えるケースもあります

よくある質問(FAQ)

後遺障害11級の慰謝料は実際いくらもらえますか?

弁護士基準では後遺障害慰謝料が420万円とされています。これに労働能力喪失率20%による逸失利益が加算されるため、年収や年齢によっては総額3,000万円規模になるケースも見られます。11級は1〜10号いずれも原則として症状固定時から67歳までを労働能力喪失期間として計算されます。

脊椎圧迫骨折で11級7号が認定されました。逸失利益は争点になりますか?

保険会社側から「変形のみで労働能力に直接影響しない」として逸失利益の減額を主張されることがあります。ただし、脊柱変形に伴う神経症状や荷重制限がある場合、職種による具体的な支障の説明により逸失利益を主張する余地があります。職種・症状の具体性を示せるかどうかが争点となります。

11級と12級では、何が違うのですか?

慰謝料は弁護士基準で11級420万円・12級290万円、労働能力喪失率は11級20%・12級14%という差があります。歯科補綴では10歯以上で11級4号、7歯以上で12級3号と、補綴本数で等級が分かれます。脊柱については11級7号「変形を残す」、8級2号「運動障害を残す」と、症状の重さで等級が階段状に上がります。

後遺障害等級の認定に納得ができません。11級への異議申立てはできますか?

異議申立てが可能です。新たな医証(追加の画像所見・医師の意見書など)を添えて再審査を求めることで、11級への等級変更が認められるケースもあります。1度の認定結果で諦めずに弁護士にご相談ください。

11級の弁護士費用はどのくらいかかりますか?

弁護士費用特約があれば原則として自己負担なしでご依頼いただけます。特約がなくても、後遺障害11級は中等度の等級で賠償総額が大きく、弁護士費用を差し引いても手取りが増えるケースが多く見られます。まずは無料相談をご利用ください。

まとめ|後遺障害11級は早期に弁護士へ相談を

項目内容
後遺障害慰謝料(自賠責基準)136万円
後遺障害慰謝料(弁護士基準)420万円
労働能力喪失率20%
労働能力喪失期間(全号)原則67歳まで
主要な症状類型脊柱変形・歯科補綴10歯以上・眼球調節障害・手指喪失(おや指以外)など
逸失利益(年収500万円・30歳の例)約2,217万円

後遺障害11級は中等度の等級ですが、慰謝料420万円+逸失利益で適切に請求すれば総額数千万円規模になるケースも見られます。脊柱変形(11級7号)の場合は逸失利益の減額が争点になりやすいため、職種や具体的な支障の主張が重要です。示談書にサインする前に、一度弁護士に相談することが重要なポイントです。


「自分のケースは相談する価値があるかな…」とお悩みの方へ

ここまでお読みいただいて、こんなお悩みをお持ちではありませんか。

  • 脊椎圧迫骨折で11級7号が出たが、保険会社が逸失利益を否定してきている
  • 11級認定が出たが、保険会社の慰謝料提示が想像していたより低い
  • 12級から11級への異議申立てを検討しているが、何を出せばいいか分からない
  • 歯科補綴の本数が10歯以上か微妙で、11級か12級か分からない
  • 示談書にサインを求められているが、判断材料がない

後遺障害11級の交渉は、相手保険会社の出方を見ながら、号数ごとの認定基準や赤い本基準を踏まえて進める専門的な作業です。一人で抱え込まず、一度ご相談いただければ、ご自身のケースで何ができるかが具体的に見えてきます。

ご相談で受けられるサポート

  • 弁護士基準での慰謝料計算(自賠責136万円 → 420万円相当)
  • 逸失利益の正しい計算(脊柱変形の争点を踏まえて)
  • 認定された等級が適正かの診断(より上位等級への変更余地の確認)
  • 12級から11級への異議申立てサポート
  • 保険会社との示談交渉の代行(精神的負担の軽減)

弁護士費用特約があれば、原則として自己負担なしでご依頼いただけます。特約がなくても、増額幅が弁護士費用を上回るケースが多いため、まずは無料相談で具体的な見通しを確認していただくことをおすすめします。

弁護士 小林聖詞は、交通事故で多数の解決実績があります。解決実績はこちら

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この記事を書いた人

弁護士/心理カウンセラー/夫婦カウンセラー

法律と心、両方の視点から問題に向き合い、「本当に納得できる解決」を大切にしています。
男女問題・借金問題・交通事故など、心の負担が大きいトラブルや人間関係のお悩みに強みがあります。法律実務歴10年以上。安心してご相談ください。

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